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2009年4月20日 (月)

手根管症候群

 医療機関のブログなのに雑談が多すぎる気がしてきました。たまには疾患の説明をしないといけませんね。
 手の指がしびれるという疾患には様々なものがありますが、大きく分けると脳や頚髄など中枢からくるしびれと、肘や手など上肢の先の方(末梢神経)に原因のあるしびれがあります。初診時は両者の可能性を考えて診断する必要があります。
 末梢神経の疾患として有名なものに手根管症候群があります。手首のてのひら側にある手根管という通路に屈筋腱とともに正中神経という神経が通っていますが、これが障害されると母指~中指にしびれが生じたり、力が入りづらくなったりします。原因のはっきりしない特発性のものと手根管の炎症やガングリオンなどの腫瘍性疾患のものとがあります。手首の骨折後や外傷後に変形や腫れが強くなり同様の症状を起こすこともあります。
 診断としては母指球がやせ細っていないか、力は弱くなっていないか、知覚障害の程度はどうかを診察し、誘発テストで症状が出現増悪しないかどうかを観察します。場合によりレントゲンで関節に異常がないかもチェックします。最近はエコーがすぐに使えるので、正中神経を直接観察して圧迫されていないかどうかもチェックします。また、ガングリオンなど腫瘍性病変の有無もエコーで診断可能です。もし腫瘍性疾患の場合はガングリオンであれば注射器で内容液を抜くことで症状が軽快する場合があります。そのほかの腫瘍では手術的な切除が必要となることもあります。
 多くの場合は腫瘍などはなくて手根管レベルでの正中神経の通過障害といった状態になっています。神経障害が軽度の場合は、炎症止めを内服や外用剤で使用したり、時にはブロック注射を行ったりして治療します。患部安静のために手関節装具を装用する場合もありますが、あまりきちんと継続使用していただけない印象があるので当院では積極的に装具はお勧めしていません。
 母指球がやせ細ってきていたりする場合は神経障害として重度です。疼痛やしびれなどでも症状が重い場合は手根管解放術という手術が必要です。最近は内視鏡を使って、皮膚切開をわずかにする手術が行われるようになってきていますので、手術によるつらさは恐れるほどでもないようです。
 手根管症候群は一度生じるとなかなか治らないことも多く、手術の適否を含めてきちんと診断することをお勧めします。

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