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2009年6月17日 (水)

強直性脊椎炎

 若者の繰り返す腰痛を診察するとき、注意している疾患のひとつに強直性脊椎炎があります。運動時より安静にしていた方が痛いとか、痛い場所が左右で移動するとか、腰椎よりやや骨盤よりが痛い(仙腸関節痛)とかいう場合はこの疾患を疑ってみる必要があります。
 字のごとく進行すると脊椎や関節が骨的に固まってきます。レントゲンで見ると脊椎が竹のようにつながって見えるようになりますが、これは高齢になってからのことが多いです。早期にはレントゲンでははっきりしないことが多く、腰椎の方形化や仙腸関節の不整を注意して見る必要がありますが、なかなか早期では判断が難しいのが実際のところです。
 強直性脊椎炎は関節リウマチなどの仲間とも考えれられる炎症性の疾患で、血液検査をすると疼痛時にCRPや血沈という炎症反応が上昇しています。常に上昇しているわけではなく、検診などではひっかからない場合が少なくありません。HLA-B27という遺伝的な要素との関連が強く、家族性に起こることが多い疾患です。ただ、HLA検査は保険が効かないので自費での検査となってしまいます。基本的に総合病院でないとHLA検査は難しいです。
 腰痛のほかにも、関節や腱周囲に疼痛を生じることもあります。手やアキレス腱周囲ですと、関節リウマチなどとの鑑別診断も必要になります。
 治療としては、最初は疼痛時に消炎鎮痛剤を投与します。最近になり生物学的製剤が有効であることがわかり使用が開始されました。ただ、どの程度の重症度で用いるべきかは難しいところだと思います。というのは、当院にも高齢で竹様脊椎の方が何人も通院していますが、高齢になり脊椎が固まっても激しく困っている方は少ないからです。積極的な治療の適否は今後の課題ではないかと思いますが、進行を確実に抑えられるかもしれない薬剤の登場は非常に喜ばしいことではないかと思います。
 あと、忘れてはならないことは強直性脊椎炎は都単独指定難病医療費等助成対象疾病です。確定診断がされると、基準を満たせば治療費が都から援助されます。
 診断されていない強直性脊椎炎の若者~中年の方は少なくないのではないかと思います。通常の治療で軽快しない慢性的な腰痛の方は一度疑ってみるべきだと思います。

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