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2010年3月29日 (月)

気胸

 整形外科では胸が痛いというと肋骨骨折や帯状疱疹をまず初めに考えることが多いです。
転んだりぶつけたりと外傷の既往があれば肋骨骨折をまず疑います。原因がなく神経痛様の痛みですと、発症早期の帯状疱疹の可能性もあります。
 時には咳をしただけで肋骨が骨折することもあります。肋骨骨折のレントゲンでの診断率は意外と高くありません。骨折していてもレントゲン写真の角度により見えないこともあります。そんなときは圧痛の有無や痛みの様子からほぼ診断可能です。超音波検査をすると、レントゲンで見えない骨折もわかることがあります。男性ですと、レントゲンではっきりしない場合は超音波検査を積極的に行うようにしています。女性ですと胸部の超音波検査はちょっとためらわれますね。よっぽどでないと行わないようにしています。
 胸の痛みでたまに「気胸」と診断される方がいます。気胸とは、肺が何らかの要因で縮んでしまった状態です。だいたいが若い男性です。強く咳をした後などに胸が痛くなったということが多いです。肋骨骨折と違って、痛い部位が漠然としていてピンポイントではないことが特徴的でしょうか。意外と息苦しいということは多くありません。この場合、聴診して呼吸音の左右差をみたり、胸部レントゲンで肺が縮んでいないかを観察します。
 気胸と診断したら、基本的に胸部外科や呼吸器内科での治療が必要です。短期間入院の上、胸腔に管を入れて陰圧として肺を膨らますような治療をします。肺に気胸を起こしやすい構造的問題がある場合もあり、胸腔鏡下の手術が行われる場合もあります。
 昔体育会にいたときに友人が応援で激しく声を上げていて胸が痛くなったことがありました。翌日?だったか病院を受診して気胸と診断され入院しました。医学生のくせに気胸と気づかずに1日苦しい思いをさせてしまったことをひどく悔やんだ思い出があります。
 緊張性気胸といって、心臓を圧迫して生命に関わるという場合もゼロではありません。また、外傷の既往がない場合はもちろん胸膜炎を伴う肺炎や心疾患などの鑑別も必要です。胸の痛みは医療機関で診断をきちんと受けた方が安全です。

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