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2010年5月 7日 (金)

社会的入院は絶対悪か

 自宅で看られないなど病気以外の理由で病院に入院することを社会的入院といいます。医療費増加の原因として社会的入院は極力減らして介護施設への入所を推進する政策がとられています。
 入院しても手術などの積極的な治療がない場合は、救急病院のベッド確保などのために社会的入院は控える努力をしていく必要があると思います。一方介護施設では痰の吸引や胃ろうの処置など医療的なことをヘルパーさんがせざるを得なかったり、社会的入院を必要とされる方では肺炎などの合併症を起こしたりして結局病院へ搬送されたりすることもあります。
 整形外科の診療所では脊椎の圧迫骨折後などで入院するか自宅安静にするか介護施設へ入所するか悩ましいときが多々あります。自宅安静で経過をみられる方には、通院で治療するようにしています。通院が困難な場合は往診もしています。しかし、一人暮らしの高齢者が圧迫骨折してしまうと自宅では身動きがとれず生活が困難になることも少なくありません。骨折後急性期は入院して治療することが必要な場合もあります。
 圧迫骨折ですと、入院してもベッド上安静が主で積極的な治療はあまりありません(最近は骨セメントなどでの手術も報告されていますが)。なので入院のお願いで病院に電話すると、「それは社会的入院ですが!」と怒ったように言われてしまうことも少なくありません。確かに私も勤務医の頃は憤ったこともありました。しかし、実際社会的入院というものをなくすことはできないような気がします。
 高齢者では合併症がいろいろあったりして、医療と介護は結局切り離すことはできません。医療機関と介護施設を行ったり来たりしていたり、介護施設から通院される方も少なくありません。社会的入院というのは、医師もいて看護師もいて介護職もいて、高齢者にはもっとも理想的な状態であるという見方もあるような気がします。費用面でも、うまく工夫すれば1箇所ですべて行えるので、医療機関と介護施設を行ったり来たりのコストなどを考えるとどうなのでしょうか。
 一度悪というレッテルを貼られるとずっと悪いものとして扱われるものですが、メリットデメリットを客観的に考えて必要な部分はきちんと制度化してほしいものだと思います。
 ちなみに過労で入院する政治家や有名人が一番不必要な社会的入院であることは間違いありません。

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