スポーク損傷
子供を自転車の後部に乗せていて、子供の足が車輪に巻き込まれた場合に受ける損傷を「スポーク損傷」と言います。それほど大したことはないのではないかと思われがちですが、これが意外と重症になる場合があります。
通常アキレス腱の上の皮膚が挫滅されます。この傷は初め浅く見えても皮膚の深層まで痛んでいることが多く、大きな皮膚欠損創となることもあります。思ったよりも傷の処置が長期化するケースもあり最初に楽観視するには注意が必要です。最近はガーゼではなく様々な創傷被覆剤を用いて治療するのが一般的となっています。その方が痛みも少なく傷の治りも順調です。
さらに、スポークに挟まれると足関節が捻られ、捻挫のような状態にもなります。傷の処置に注意がいきがちで、足関節自体の損傷が見逃されることもあります。足関節の側方や前方まで腫れていたり内出血があると、下腿遠位の骨折や骨端線損傷(成長線の損傷)も合併している場合があります。レントゲンで明らかに骨折が見られる場合はもちろんですが、成長線部分の損傷では最初はレントゲンで明らかでない場合もあります。疼痛や腫脹の具合で必要であれば副木(シーネ)を用いて固定します。
子供を自転車の後部に乗せる場合は、足が挟まれないようくれぐれも注意してください。子供に対して「本当にそんなに痛いの?」と訝るおかあさんも時にいますが、かなり痛い外傷です。
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