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2010年8月11日 (水)

股関節のインピンジメント

 最近股関節外科でホットな話題として、Femoroacetabular impingementという疾患概念があります。日本で正式にどう訳すのか正確には確定していないように思いますが股関節インピンジメント症候群と言うのでしょうか。主に国際的な整形外科系の雑誌には頻繁に登場しています。
 股関節は、ビリヤードの玉のようにツルツルの球状である大腿骨頭と、骨盤側の屋根である臼蓋とがしっかりと組み合って成り立っている関節です。しかし構造上このかみ合わせがよくない方がいます。
 大腿骨頭の球状部分から頚部への移行部が凸状になっていると、深く曲げたときにこの張り出しが臼蓋とぶつかって関節の縁にある関節唇という部分を傷めてしまったりします。臼蓋側は大腿骨頭に対して屋根のようになっているのですが、この部分の体の前側が広いとひさしが当たるように障害になります。
 若い頃から股関節を屈曲すると痛い、ひっかかる感じがする、などの症状がある場合はこの疾患概念に相当する場合があります。疼痛誘発テストや股関節のレントゲンでの構造のチェックをしてみることをお勧めします。もしこの疾患に該当する場合は、無理に股関節の深いストレッチや股関節への負荷が強い競技をすると変形性関節症への進行が早まる恐れがあり注意が必要です。
 治療としてはアメリカなどを中心に内視鏡など低侵襲での手術が行われてきています。大腿骨の凸になった部分を削るとか、関節唇という部分をトリミングするなどの方法です。日本ではまだ積極的に行われてはいませんが、徐々に行われるようになってきています。ただ、長期成績がまだしっかりとは定まっていないものと思われ慎重に相談して行う必要があります。
 将来の変形性関節症を防止するために骨を削るということがどこまで行われていくのか。
積極派、消極派の出方を伺っていく必要があるように思います。

 

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