古城の芝
ヒトは経験を積み重ねて成長していくものなのでしょうか。
昔、旅をしていて古城に立ち寄った時のことでした。数百年前から変わらぬであろうその古城の芝から
「おまえはそのまま旅していくがいい。私はずっとここに居る。」と言われた気がしました。
その時から、私の中では経験を積み重ねるということに疑問符が付いています。ヒトは経験しないと成長していけないのか。それは人間にとって長所ではなく短所なのではないか、と。
経験しないとわからないから、ヒトは毎世代戦争を繰り返してしまうのではないか。他国に生まれてみないと他国の人々の気持ちは理解できないのでしょうか。完全に自然の潰えた地球に暮らしてみるまで地球環境のすばらしさを理解できないのかもしれません。
身体障害者の病院に勤めていた時、頸椎から下が自力でまったく動かせない患者さん達とたくさん出会いました。自らの意志で活動することができないという経験。自分にその方々の気持ちを理解することがどこまでできるのか。
旅を続けていく経験と、一点で思考する経験と。これからの時代には自らの経験を超えていく能力が必要であるような気がします。
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