受診前の処置
切り傷や擦り傷で医療機関を受診される場合、様々な応急処置をしてから受診される方がいます。昔はガーゼをして受診する程度でしたが、最近はさまざまなパターンがあります。
一時、粉末状の処置剤をスプレーするのが流行りました。これは医師からすると最悪の前処置でした。創がどうなっているのかわからず、粉末が固まったものが非常に取れにくいので診断も処置もやりにくくなります。これだけは使用しないで来院していただきたいと思います。
軟膏を塗ってから来院される方もいますが、この油分は処置の時に取れにくいので軟膏類は付けない方が望ましいと思います。
学校や看護師さんのいる施設では、最近は切り傷をテープで止めてから来院することが多いです。これも医師からすると悩ましいものです。切り傷を止めるテープはステリーテープと言いますが、これを貼ってある場合は創の内部は十分洗浄してありもう開いて確認しないでよいということを一般的に意味します。もし内部の洗浄が不十分なのにテープで固定してしまうと、内部に異物や細菌が残ってしまい感染などの発生が増加する恐れがあります。なのでテープが貼ってあるのに来院すると、それを取ってよいのだかそのままにすべきか悩みます。もしそのままにして経過観察して感染してしまったらテープを貼った方の責任になってしまうのかもしれません。それもまずいので結局一旦剥がして内部を確認し洗浄するようにしています。
指を切った時に輪ゴムできつく縛ってから来院される方も多いです。確かに動脈圧以上の圧力で止血できればよいのかもしれません。しかし動脈圧より下がってくると静脈のみ圧迫されうっ血が増える恐れもあります。指の場合もガーゼやきれいなハンカチやタオルを全体的に当てて全体的に押さえて受診されるのがよいと思います。
結局は昔ながらのきれいな水道水でよく洗ってガーゼで押さえて、あれば包帯固定し受診されるのが最も診察や処置がスムーズに行くものと思います。
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