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2012年11月17日 (土)

胃と背骨と骨粗鬆症

 昨日は消化器の講演会、今日は脊椎と骨粗鬆症の講演会に参加してみました。最近は胃潰瘍は減少傾向にあるのですね。逆に圧倒的に増加しているのが逆流性食道炎とのことです。胃潰瘍の大きな原因にピロリ菌がありますが、ピロリ菌の感染率は高齢の世代と比べると今の若者は大幅に減少しているそうです。逆流性食道炎の大きな原因は肥満や高脂肪食だとのことですが、日本人も食の欧米化や高カロリー化により今後も増加傾向にあるそうです。
 胃、十二指腸潰瘍の原因として消炎鎮痛剤は重要なものの一つです。痛み止め全てが胃に悪い訳ではなく、炎症止めが消化管に悪いことは以前から知られています。しかしその中では現在主流となっているCOX2選択的な消炎鎮痛剤はだいぶ消化器へのダメージが少ないというデータは出ているそうです。COX2タイプの消炎鎮痛剤とPPI製剤という潰瘍治療薬を合わせて飲むとほとんど潰瘍は生じないとのことでしたが、現状保険の関係で全ての方にこの組み合わせで処方をするのは難しそうです。リスクの高い方では有用な方法のようです。思い切り潰瘍を形成するタイプの消炎鎮痛剤が市販化されていますが、ドラッグストアーで販売することに薬剤師の方は不安がないのでしょうか。
 今日は高齢者の脊椎変形に対する手術のお話でした。年齢とともに側弯や後弯してしまった方や圧迫骨折で高度に円背となってしまった方に対しては根治的に治療するのは難しいものです。背中が高度に丸くなってしまうと、逆流性食道炎や息切れなど内科的な症状をかなりの頻度で生じます。ここで昨日の話と繋がる訳ですが、円背の方の逆流性食道炎に対してPPI製剤という強力な制酸剤を処方しても効果が今ひとつなのが実感です。今日の話では脊椎をまっすぐに戻す手術をすると円背による消化器症状はすっきりすることが多いそうです。ボディーイメージも改善し満足度が高いとのお話でした。外来で脊椎の矯正手術のお話をしても希望する方はほとんどいないのですが、今後は少しずつ増えて行くのかもしれません。しかし骨粗鬆症のために多発で圧迫骨折している脊椎に長いロッドが立ちスクリューが何本も刺さっているレントゲン写真を見ると、長期予後が心配になるのは私だけでしょうか。
 最後に骨粗鬆症の講演を聞きましたが、結局、なるべくひどい圧迫骨折を防止するのが一番なのかもしれません。骨粗鬆症を防止すれば圧迫骨折をかなり防止でき、圧迫骨折を防止できれば円背による逆流性食道炎は生じません。
 最終像として脳梗塞や心筋梗塞のような重篤な疾患が想像される高血圧や高脂血症と違って、骨粗鬆症が見つかって治療をお勧めしても骨折するまでは本気になってもらえないことが少なくないのは難しいところです。

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