右往左往
今年は診療報酬改定の年です。4月から医療にかかる費用がいろいろ変わります。高くなるものもあり安くなるものもあります。
相変わらずテレビやネットでは何%上がったとか下がったとかいった非常に低レベルの大本営発表しか行われないので一般の方は詳しくわからないと思いますが、診療報酬改定にはこれから厚生労働省がどういう方向へ医療を向かわせようとしているかという方向性が示されています。
今回の改訂で最も衝撃的だったのは、かかりつけ医の条件として原則院内処方にしなさいという方向性が示されたことでした。1990年代から、医療機関が薬価差益で大儲けしているとメディアが散々非難報道して院外処方へ切り替えられてきました。骨折して来院しギプスを巻いて松葉杖でやっと帰宅できるという患者さんにも、電柱ごとに一休みしながら来院される高齢者にも、薬は他の薬局へ取りに行ってくださいと言わざるを得ない状況が望ましいと厚生労働省もメディアも言い続けてきた訳です。それが、今更院内処方にしなさいと突然言い出したのには驚きました。しかも、生活習慣病と認知症という時間外処方の必要性が非常に低い疾患についてです。
厚生労働省の官僚各位の脳が正常に機能しているなら、今まで自分達が言ってきたことと全く逆方向のことを突然言い出したということはよくわかっているはずです。メディアの方々も今までの院内処方批判は何だったのか、詳しく説明する必要があると思います。
今まで院外処方を進めてどこが潤ったのか、これから院内に戻してどこを潤そうとしているのか。将来どうなっていくのか少しわかってしまったような気がします。お上の意向によって現場が右往左往させられていくという現実がよく見える改訂なのですが、報道はされないのでしょうね。
当院は近隣の薬局とうまく連携していく方向でしっかり考えないといけないと思っています。
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