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2015年6月17日 (水)

壊死性筋膜炎

整形外科、皮膚科の医師にとって最も診断したくない疾患の一つに壊死性筋膜炎というものがあります。何らかの原因で皮下に感染が広がり、筋肉を包んでいる筋膜という組織が壊死してしまう(腐敗して溶けるようになってしまう)疾患です。それだけではなく広範に組織障害が広がり、ショックを呈して亡くなってしまうことも少なくありません。糖尿病や肝硬変のような免疫力が低下する疾患に合併して生じることが多いのですが、はっきりした原因がないことも少なくありません。

 原因となる菌の種類によって症状や進展様式が異なります。最も進展が速いタイプの疾患を劇症型と言います。数例経験したことがありますが、このタイプの方は残念ながら救命することは難しいと思います。外来で待っている間に血圧が低下し急速にショック状態となっていきます。足先が少し腫れていたような方が、みるみるうちに皮膚の色調が変わっていきます。皮膚色の変化の境界にマジックで線を引いておくと、10~20分後にはその線より頭側まで皮膚色が変化していきます。そうなるともう全身管理し点滴して、できれば切断を含めた外科的処置をして祈るばかりですが、その日か翌日には亡くなってしまいます。これはもう運命としか言いようがありません。
 他のタイプではそこまで急速ではありませんが、やはり広範囲に壊死が広がり、大きな外科的処置が必要となったりします。ガスを発生する菌では、皮膚を押すとブヨブヨと雪を踏むような感触がありレントゲンでガスが映ります。
 早期に診断するためには、足などが腫れてきたら水泡や血泡を生じていないか、色調の変化が急速に広がらないかを観察して我慢せずに早急に医療機関に受診することが必要です。血圧が低下してきた、脈が正常ではないなどの変化がある場合は救急受診が必要です。迷う場合は電話相談をしてから受診先を選択するとよいと思います。
 その前にまず糖尿病などはしっかりコントロールする、肝障害のある方もしっかりそのリスクを把握しておくなど日頃の体調管理が大切です。

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