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2015年9月 5日 (土)

浸透率

 相変わらず湿布を乱用してしまう方が少なくありません。1回に1パック全てを使ってしまう方も珍しくありません。坐骨神経痛に対して腰から足まで並べて湿布をしてしまうのは、気持ちとしてはわからなくもありませんが正しい使い方ではありません。
 湿布というのは、消炎鎮痛剤を皮膚から染み込ませる(浸透させる)ようにした薬剤です。薬剤によってどれくらい浸透するかはいろいろですが、医療用の薬剤では40%程度という話もあります。例えばロキソプロフェンの場合、内服薬は60mgですが、テープ剤の小さい方が50mg、L判で100mg含有しています。40%浸透するとすると小さい方で3枚、L判で1.5枚貼ると内服薬と同じ量になります。もちろん血中濃度などは浸透する速度にもよりますので、単純に比較はできませんが、L判1パック7枚貼った場合700mgの40%,280mgが浸透する計算になります。内服薬は1日毎食後が標準で計180mgですので内服より1日当たりでは約1.5倍多い量が浸透することになります。
 湿布は消化器を通らないのでよいのではないかという考えもありそうですが、消炎鎮痛剤の副作用は消化器疾患のみではありません。腎機能障害なども心配ですし、妊婦の方では胎児への影響もゼロではありません。
 湿布はあくまで病因がある部位に局所的に使うのが正しい使い方だと思います。
 医療費の問題にしても、あまり気にすることなく湿布をたくさん出してくれと希望される方が多いですが、医療全体を考えたとしたらある程度制限するのは必要なことだと思います。
 湿布を希望通りたくさん処方してくれる医師とあまりたくさん使わないようにと制限する医師がいた場合、患者さんから見ると前者は親切な医師、後者はケチな医師と思われるかもしれませんが、本当は後者の方が患者さんのことを考えていると思っていただけるとよいのですが…。

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