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2016年5月13日 (金)

高額な薬

 最近ひとつの薬がよい意味でも悪い意味でも医療業界で話題になっています。新しい機序の抗がん剤で、今まで有効な治療法のなかった癌種に対しても効果を発揮することがわかってきた薬です。しかもひとつの種類の癌だけではなく様々な癌に効く可能性を秘めています。日本で開発されたということも喜ばしい点です。
 一方、好ましくない点として1回の治療に100万円以上が必要です。それを継続して投与しないといけないので、一人当たりの治療費が年間で3000万円を越えることになります。もちろん高額療養費制度等があるので、自己負担としてはそこまで高額ではないのですが、この薬を広く一般的に使用したらそれだけで社会保障費が破綻するのではないかという声もあります。
 この薬に限らず、最近は非常に高額な薬が次々と登場しています。すべての疾患に対して最新の薬を使っていくことが財政的に可能なのかどうか。本当に最新の最もよく効く薬を第1選択にしなければならないのかどうか。私が医師になった頃から世の中を席巻してきたEBM(根拠に基づく医療)の中で、最も効果の高い薬を選択することが専門医の使命になっていますが、本当にそれがすべてなのか。
 例えば抗生物質は、次々と新しい抗生物質が開発され医師もより効果の高い薬を使い続けた結果、多剤耐性菌という問題を生じてしまいました。今ではなるべく旧来の薬を第一選択にしようという方向になっています。生活習慣病についても次々に新しい薬が開発されていますが、そもそも生活習慣を改善すれば薬がいらない人はかなり多いのではないかとも思います。
 高脂血症の治療が超高齢者に必要なのか。骨粗しょう症の治療は何歳くらいまで、どんな状態まで行うべきなのか。90歳を過ぎた方にも肺炎球菌ワクチンが必要なのか。
 なぜ医師が最新の薬へ傾く傾向にあるのか。投薬範囲や投薬中止の基準などが十分議論されないのか。専門医を維持するために、最新の薬がいかにすばらしいかを拝聴する講演会を何十回も聞いて刷り込まれないとならないのか。この辺りの話は日本の医療の大きな問題点だと思いますが、今の社会体制ではどうにもならないような気がします。どうにもならないという大人的考え方がダメなんだろうなと思います。今はどんな分野も時代が変わる変換期。次の時代へ飛び越えるための破壊工作が必要だという気がします。

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