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2016年8月31日 (水)

特発性腰椎硬膜外脂肪腫症

 腰部脊柱管狭窄症の方は非常にたくさんいます。典型的な症状としては歩いていると足が痛くなってきたり重くなってきて立ち止まってしまう「間欠は行」が有名です。その他には坐骨神経痛や、足の裏のしびれや皮が一枚貼っているような感じ、歩いていると前かがみになってしまうことなどがあります。
 腰椎の骨に囲まれた脊柱管という部分で、前方から椎間板が突出したり、後方から黄色靭帯が厚くなったり、腰椎が前後にズレるすべり症などで通り道が狭くなることが原因であることが多いです。
 稀な原因として、脊柱管内の脂肪層が大きくなってしまうことがあります。脊柱管の中に神経の通る管があるのですが、その周囲には通常薄い脂肪層があります。これが非常に増えてしまうと神経を圧迫してしまい狭窄症の症状を呈することがあります。この疾患を硬膜外脂肪腫症と言います。ステロイドの使用やクッシング症候群という内分泌疾患に伴って起こる事もありますが、そのような原因のないものを特発性硬膜外脂肪腫症と言います。脂肪腫といいますが、腫瘍ではなく、あくまで脂肪組織の増殖です。
 この場合、レントゲンでは脂肪は映らないため診断できません。腰椎のMRIにて確認できますが、椎間板も黄色靭帯も正常で、すべり症の所見もない場合、通常のMRIでもこの疾患の認識がないと見逃されてしまうことがあり検査結果を見る医師としても肝に銘じないといけない疾患です。
 肥満に伴っている場合が多いと言われていますが、報告では肥満のない若者の報告もあります。肥満に伴っている場合は、減量等内科的な指導、治療で改善する場合もあるとされていますので、肥満に伴ったこの疾患の方は覚悟を決めてダイエットに取り組む必要があります。
 それでも改善しない場合や肥満に伴わない場合は、神経障害の具合によっては手術的に脊柱管内の脂肪を切除して除圧する必要があります。

2016年8月22日 (月)

高齢者の上腕二頭筋腱断裂

 上腕二頭筋というのは、二の腕の力こぶを形成している筋肉です。肩関節の上方と、肩甲骨の烏口突起という部位の2箇所から腱が伸びていて二の腕で筋腹を形成し前腕の骨に繋がっています。肩側で2箇所に繋がっているので二頭筋と呼ばれています。スポーツ選手などでも、このうちの肩関節上方へ伸びている腱が断裂することがありますが、高齢者ではちょっとした動作でこの腱が切れてしまうことがあります。
 少し重たい物を動かそうとしたら二の腕が痛くなったとか、布団を引き上げようとしたら痛くなったとか。場合によっては五十肩のようだけれど力こぶが出っ張ったという話をされる方もいます。
 特徴としては腱が切れて筋肉が短縮するのに伴って力こぶが下に移動して出っ張ったようになります。痛みとしてはそれほどひどくはありません。
 もともと、肩関節周囲で骨が棘状に突出していたり、腱板という肩を動かす筋が痛んでいたりする方に生じることが多いように思います。なので予防として特に肩峰の骨棘が突出している場合にその部位を切除してなだらかにするという手術もあるのですが、症状がひどくないとなかなか手術を希望される方もいないのが現実です。
 肩関節の痛みや関節炎などで肩にステロイド注射をすると、腱が弱くなって皮下断裂する可能性が稀にあります。二頭筋腱の周囲にはよく炎症を起こしますので、この部位に注射をする場合がありますが、合併症としても注意が必要です。内服や湿布で炎症が治まって来ない時にはステロイド注射が良く効くことも多いのですが、頻回に注射できないのはこの合併症の懸念があるためでもあります。
 治療としては、基本的に高齢の方では手術的な再建術は必要ないことがほとんどです。しばらく肩の挙上が困難だったりしますが、日常生活での困難はなくなる ことが多いです。力こぶの左右差は残りますが、通常はあまり気にならないようになります。痛みのあるうちは湿布等にて対応し、可動域の回復具合によりリハ ビリテーションを行います。

2016年8月11日 (木)

win winの関係には陥らないよう

 win winの関係というと、よく企業買収などの報道で良い意味で使用されています。売り手と買い手が共に利益を受けることで、商売の場ではとてもよいことなのは間違いありません。

 医療や介護の世界では、とても気を引き締めて注意していないとwin winの関係に陥ってしまうことが少なくありません。以前問題になった事例では、関西の方で生活保護ビジネスというものがありました。ホームレスの方を病院に一定期間入院させて、他の病院に転院させ、それを繰り返すというビジネスです。ホームレスの方にとっては3食付きで快適なベッドで眠れるという利益があり、病院にとっては生活保護の方は自己負担0割ですからベッド利用率を上げて全ての診療報酬を得られるという利益があります。病院と患者さんにとってwin winの関係な訳ですが、倫理的にも財政的にも許されることではありません。
 これは極端な例ですが、もっと身近なところでも注意が必要です。例えばメタボリックシンドロームの治療についてはどうでしょうか。生活習慣病な訳ですから、本来は生活習慣を改めるのが先決な訳です。まず節制して運動等も試みて、それでも改善しない場合に治療を行うというのが原則です。現状、患者さんは節制する努力をしないで済むという利益があり、医療機関としてもずっと診療投薬して報酬を得られるという利益があるという、言ってみれば両者とも苦しい努力をせずにwin winの関係を築いていることになっていないでしょうか。
 整形外科的にはやはり青壮年層の腰痛や膝痛についても、本来は運動療法や減量など生活習慣を改善することが先決です。それでも治らない場合に鎮痛剤の使用やリハビリ、ブロック、最終的に手術の適否の検討などが必要になってきます。
 介護保険制度が始まった時には、腰痛や膝痛の訴えがあるだけで家の掃除などのサービスが導入できたものです。利用者さんが希望するだけのサービスを最大限導入すれば利用者さんは楽で、介護事業者には利益がある訳ですが、これも必要最小限に留める努力が必要です。
 先日、忙しい親が子供の風邪に対して夜に往診を呼ぶという医療について放送されていました。解説者もキャスターももっと普及していけばよいという結論になっていましたが、忙しいという理由で医師を夜間に自宅に呼ぶというシステムが全国に普及したら医療財政はどうなってしまうのでしょうか。ビザを宅配で食べるのとファミレスで食べるのとどのくらいかかるコストが異なるのか、テレビに出るくらいの方々になるとわからなくなるのでしょうか。
 一般の商売の世界と医療介護の世界では、純粋な利潤の追求と公的費用の中での活動という面で意識をきちんと分けなければいけません。なるべく利潤を追求しない団体の方が有利になるシステムというのはできないものなのでしょうか。

2016年8月 4日 (木)

祖母の100歳と平均寿命

 祖母が100歳を迎えました。身内が100歳に到達するとは長寿社会になったことを実感します。幸い食欲もあり百寿の会では伴奏に合わせて歌を歌っていましたのですごいことです。
 一方、先日日本人の平均寿命が男女共世界2位になったとの報道がありました。女性は久しぶりに1位の座から陥落した形になります。「2位じゃダメですか?」という言葉がありましたが、長寿世界一から順位が下がったことは残念なことなのかどうか。意識なく胃瘻から栄養を注入されている方というのは昔より減ってきているように思います。無理なことはしないで自然に向こう側へ行きたいという方も以前より増えているように思います。闇雲に長寿を目指す社会から、長寿だけがよいことではないというふうに意識が変化してきた結果なのかもしれません。
 長寿になれば体の機能も脳の機能も必然的に低下していきます。若い頃のように完全に治りたいという方は少なくありませんが、それは叶わぬ希望です。長寿で幸せに生きるコツは、今の自分を受け入れて日常の中で幸せを感じることではないかと思います。
 高齢になればなるほど、年齢はあまり関係なくなっていくものです。達観して心豊かに暮らしていくか、いろいろなことに不平不満を言いながら暮らしていくか。百寿の会で祖母の笑顔を見ながら、自分はそこまで達観できるのだろうかと考えました。

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