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2016年11月26日 (土)

スポーツトップチームの治療

 昨日は日本代表やトップチームのチームドクターをされているご高名な先生の講演会に参加してきました。
 主に下肢の損傷や傷害に対する対応、治療についてのお話でした。感想としては、トップチームと言えども診断や治療の方針は一般の整形外科とそれほど変わらないなという印象でした。ただ、診断には初診時からすぐにMRIを行い、頻回にMRIでチェックするなど一般の方では保険が利かないほど詳細にされており、リハビリも専門性が高く、その辺りがやはり高度な内容でした。
 もう一つの感想としては、トップチームでは最初から医学的な管理をしっかりされているということと、休むべき期間はしっかり休んでいるということでした。肉離れなどはトップチームではどうやって早期復帰しているのかなと思いましたが、やはり肉離れでも重度になると復帰には数ヶ月かかることも少なくないようで、特別な治療はあまりなくMRIによる数週ごとの確認と再受傷しないように細心の注意をしながらのリハビリテーションということでした。
 また、治療としては積極的に手術が選択されている様子も伺えました。一般の方では外傷や傷害が起こってもしばらくはマッサージなどで様子をみてしまい、医療を受診する時にはもう完治が難しい状態になってしまっている方もいますが、後遺傷害などを防止するためには早期の診断が最も大切です。早期に診断して、必要であれば手術も検討するという対応が必要とのことでした。特に膝の前十字靭帯損傷などはそのままでは機能が低下してしまうためスポーツ選手では手術が必須です。
 スポーツ選手は休みたくはない一方しっかり治さないとパフォーマンスが落ちてしまうので、そのバランスを見計らうのが難しいところです。

2016年11月25日 (金)

なかなか治らない肩関節痛

 五十肩や肩関節痛は病院に行っても治らないと言う方は少なくありません。確かに肩関節痛はすぐに治せない疾患が多いのですが、それには理由があります。最近、整形外科領域の超音波検査が一般的になってきて、どうして治りにくいのかがだいぶはっきり分かるようになってきました。 一般的に肩関節が痛いとほとんど五十肩として片付けられてしまうこともありますが、厳密な意味での五十肩はあまり多くありません。五十肩というのは他の様々な疾患を除外して残る病名で、以前は他の疾患を早期に発見できなかったので「肩が痛い」=「五十肩」という風になってしまったのですが他の疾患も早期に発見できるようになった現在ではそれ以外の診断を下せるようになってきたのです。
 治らない肩関節痛として多い疾患の一つは腱板損傷です。中年以降、明らかな外傷がなくても肩を挙上する動作を行う腱板という筋が擦り切れてくることが少なくありません。腱板損傷を伴って肩に痛みを生じていると、なかなか痛みが治まらないことが多いです。根治的には手術的に修復するかどうかですが、手術適応範囲は現状それ程広くありません。手術成績はかなり良好なのですが、術後のリハビリなどはけっこう大変なこともあり、年齢や活動性等を考慮して検討するとよいと思います。それ以外ではやはりリハビリテーションが中心となり、場合により注射等も行います。
 石灰沈着性の腱板炎も比較的多いですが、急性発症する場合は痛風のように痛くて診断は容易です。その後、結晶が骨のような塊になって残ってしまうことがあります。この場合も肩関節痛がなかなか治りません。小さい骨片ですと肩の動かし方によって疼痛を生じるインピンジメント症候群の原因になることも多いです。レントゲンでは判別しにくい部位に小さな結晶がある場合、超音波検査で特定できます。
 SLAP lesionの損傷などの関節障害もなかなか痛みや機能障害が治らない原因になります。この場合はレントゲンでも超音波でも診断困難で、臨床所見とMRI検査等で診断します。若いうちやスポーツ選手等では関節鏡での手術が最も根治的かと思います。
 時に、肩関節から発症する関節リウマチやリウマチ性多発筋痛症、脊椎関節炎といった炎症性疾患もあります。肩関節に水が溜まっていたり滑膜が増殖していたりする場合血液検査等が必要になることがあります。肩関節が治らない場合、漫然とリハビリをしていて炎症が持続していると骨関節が壊れていってしまうこともあり、逆に炎症性疾患と診断してお薬を使うとスムーズに疼痛が取れることもありますので考慮が必要です。
 その他には、変形性肩関節症も意外と少なくありません。多くの場合、腱板損傷後の年齢的変化等ですがこれは基本的には治りません。肩関節の人工関節も徐々に行われるようになってきており、年齢等によっては手術でよくなる可能性はあります。
 徐々に増悪する場合などには、一応癌の骨転移も除外診断が必要です。
 肩関節痛をいっしょくたにして「この方法ですぐ治る。」と宣伝するものがよくありますが、肩関節痛というのは症状名であって病名ではないので、肩関節痛全てに効果のある治療というのは全部怪しげです。テレビが見られなくなったらとりあえず角を叩けば治るというのと同じレベルです。まあ治ればよいわけですが。なかなか治らなかったら原因をさらに詳細に追求してみるとよいと思います。ただ、原因がわかってもすぐに治らないことも多いのが肩関節のつらいところですが。

2016年11月17日 (木)

虫さされはまだまだあります

昨日今日とむしさされで腫れたという方が10人以上来院されました。
先日妙に暖かかった日に刺されたようです。
虫は蚊です。シマカは卵で越冬しますが、晩秋までいるようです。
アカイエカは晩秋に出現したメスの成虫が越冬し、冬でも暖房された部屋ではみられることがあるようです。チカイエカは都心部のビルやマンションの地下排水溝で発生し、休眠しないので地下街やオフィスなどでは冬でも吸血されるようです。
虫さされで腫れる方は老若男女問いません。
幼稚園、保育園生、小学生もいれば、40歳~80歳の方もいます。
以前にも書きましたが季節外れの蚊は腫れます。
おそらく、夏に何回もさされ、感作された上に久しぶりに刺されるので腫れがひどいのではと想像しています。
腫れがひどい方が多いため、一番強いステロイド外用剤を1,2週間ぬって、完全に治してもらいます。
掻き続けると固いしこりとなって何ヶ月もつづくことがあるからです。

2016年11月13日 (日)

良くも悪くも民主主義

 今回のアメリカ大統領選挙で色々なことが分かりましたね。ひとつは現代のメディアが本当に取材力がないのだなということです。ネットの情報をコピペしているのか、居心地の良い都市部で知り合いとだけ話をして記事を書いているのか。経済学者も、確かこの結果だと株価が下がって円高になるとみんな言っていませんでしたか?本当に株なんて経済活動というより博打なんだなとよく分かりました。
 ある意味イギリスやアメリカがうらやましくも思います。良くも悪くも少なくとも民意が示され社会を変化させることができたのですから。いつまでも昭和時代のやり方を続けている日本とはえらい違いだと思います。
 一方で今の世界の流れには恐ろしさも感じます。第二次大戦前のドイツなどはこんな感じだったのでしょうか。人気で政治家が選ばれていくのは日本でも同じです。一体この後世界はどこへ向かって行ってしまうのか。まさに時代の曲がり角ですね。

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