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2017年2月 4日 (土)

パーソナリティー障害と疼痛

 これは非常にデリケートな問題ではあるのですが、整形外科医には避けて通れない事柄です。慢性的な肩こりや腰痛を抱えている方の中には身体的な問題や障害ではなく、心因性の要因によって痛みを生じている方が少なくないと言われています。
 心因的、精神的要因にもさまざまな状態がありますが、その一つにパーソナリティー障害があります。パーソナリティー障害の方の多くは統合失調症やうつ病のように精神的な問題が顕著に現れることなく普通に生活されています。最近は大人の多動症なども知られるようになってきましたが、それほど稀なことではありません。一般社会での有病率で10〜15%前後、精神科のクリニックで25%くらいですが、慢性疼痛を専門とする医療機関への受診者では40〜70%にパーソナリティー障害が存在すると言われています。この手の論文での頻度は大抵多すぎる印象があるので一概にそれほどの頻度なのかは微妙ですが、少なくとも整形外科の診療所にも多くのパーソナリティー障害の方が通院されているはずです。
 医師を大きく二つに分けると、身体科の医師と精神科の医師に分かれます。要するに精神科の医師以外には、精神的な状態や疾患について診断し治療することはなかなか困難です。痛みを扱う科の医師をしていれば、この方は精神的な疼痛が主だろうという推測は立てられますが、確定診断や治療は精神科医師に依頼した方が確実です。ただ、整形外科を受診した方に、「あなたは精神的な要素が主なので精神科を紹介します。」と言っても納得できないかお怒りになることも少なくありません。慢性的に疼痛を抱えている方は、ストレスチェック等も兼ねて精神的な面もできれば一度専門医の診察を受けてみるとよいと思います。
 パーソナリティー障害による、もしくは伴う慢性疼痛の方には身体的に大きな障害がないので、運動や環境を整えて改善しましょうという話をしても、逆に不安感や不満感を増幅して症状が悪化してしまうこともあります。西洋医学的な診断や治療はすべてうまくいかず、寛容に受け入れて手当てをしてくれるマッサージ等の方が有効なこともありますが、完治はせず延々とマッサージを続けていくことにもなりかねません。本当は認知行動療法などの精神的な方法をもっと積極的に導入した方がよいのだろうと思いますが実施している機関も少なく導入するのは難しいのが実際です。
 痛みを訴える方に対して寛容過ぎて安易に鎮痛剤を処方したりブロック注射などを繰り返したり休業診断書を記載したりすると、それがさらに痛みへの依存を生じてしまうような現象をオペラント条件付けというそうです。なので疼痛の訴えに対しては受け入れつつ、安静や休業、過度な治療から運動や適度な治療介入へと変容していくようにすることが大切です。
 慢性疼痛の方には民間療法や薬剤、医療もそうですが様々な介入が行われています。それでも疼痛コントロールがうまくいかないこともあります。場合によっては、疼痛を完全に無くすことを目指すのではなく日常生活の質を改善することを目指すとよいのかもしれません。

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