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2017年2月22日 (水)

膝窩のう腫破裂

 膝の後ろ側(膝窩)の腫れ物を自覚し来院される方は時々います。多くは中高年以降の高齢者で、痛みもなくただ腫瘤が心配な場合と、痛みのある方とがいます。正座などで深く曲げると痛いとか、深く曲げることが困難になったという主訴で来院される方もいます。一番一般的な膝窩の腫瘤は膝窩のう腫と言います。多くは筋肉や腱の間にある滑液包という部分に水が溜まった物で、関節と交通している場合が多いと言われています。関節にも水が溜まっている方も少なくありません。膝関節がすり減る変形性関節症に伴った方が多く、痛みは膝関節由来のことが多く膝窩のう腫自体は、深く曲げた時に障害になるくらいであまり悪い影響はありません。
 膝窩のう腫のみであれば、大きくて支障が強い場合は注射器で内容液を抜くこともありますが、またすぐに溜まってしまう方もいますので、あまり穿刺しないでよいと思います。大きかったり障害が強い場合は手術的に切除することもあります。

 ここからが今回の主題なのですが、時に膝窩のう腫が下腿背側に大きく拡大したり、袋自体が破れて下方に液体が広がってしまうことがあります。さらには下腿に炎症を起こしたり、浮腫状になったりすることもあります。これを通称「膝窩のう腫破裂」と言います。

 最初は下腿の痛み、腫れ、むくみなどが主訴で来院されます。なので、塞栓症などを疑います。赤く腫れていることも多く、そうすると見た目では蜂窩織炎やうっ滞性皮膚炎に見えることが多いです。採血で炎症はあるものの感染徴候に乏しく、D-dimerなどもあまり上昇しておらず、エコーで明らかな血栓もなく、膝窩のう腫が下腿へ拡張していると膝窩のう腫破裂かと思われます。膝窩のう腫内部に通常の液体の他に血腫や滑膜等が観察されることもあります。 このような場合、膝窩のう腫が主因だろうと判断しても蜂窩織炎等を完全には否定できないことも少なくありません。当初は炎症止めや抗生剤の内服をして経過観察することが多いです。穿刺して極力嚢腫内の液体を吸引したり膿が貯留していないか確認したりすることもあります。 
 膝窩のう腫破裂が主因である場合は炎症止めのみで改善することが多いです。関節リウマチに合併する場合などは炎症が強いことがあり、嚢腫内にステロイド注射をするとよく効きますが感染症の確実な除外診断が必要です。
 膝窩のう腫破裂の多くは初診時下腿の蜂窩織炎やうっ滞性皮膚炎との鑑別が悩ましく、いろいろな検査や診断的治療を経て確定できる場合が少なくありません。ただ、他の疾患に比べると通常経過は良好です。

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