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2017年2月15日 (水)

圧迫骨折戦争状態

 相変わらず、脊椎の圧迫骨折の方は毎日のように来院されています。圧迫骨折はテレビで「いつの間にか骨折」と宣伝されているように痛みを感じない方から、激痛で身動きできなくなりベッド上でオムツをして寝たきりになってしまう方まで本当にひとりひとり臨床像が異なります。
 高齢者が腰背部痛で来院された場合、初診時のレントゲンでは診断できないことも少なくありません。症状や所見から、おそらく圧迫骨折だろうという診断になった場合、確定するにはMRI検査が有用ですが、行うか行えるかどうかもひとりひとりの状況で検討が必要です。
 圧迫骨折となった場合、一人暮らしか家族と同居か。自宅で療養できるか入院が必要か。通院できるか、往診にするか。介護保険をもっているか、電動ベッドを借りたりヘルパーさんを導入したりするかどうか。他の持病や認知機能はどうか。鎮痛剤はどの程度の強さで使うか、骨粗鬆症の治療をどの程度行うかどうかなど、様々なことに配慮して各方面への連絡、連携が必要になってきます。発症前は元気にスポーツしていた方でも、その日を境に要介護者となってしまったりします。
 現状、自宅や高齢者施設ですでに在宅診療を受けている方でも、普通に整形外科に受診されてきますが、今のように内科の主治医や在宅の先生が圧迫骨折を診られない状態ですと、整形外科医だけでは近い将来本当に診きれなくなるのではないかという不安に駆られます。胸の聴診をするのと同じような感覚で脊椎の叩打診をするようにせめて在宅の先生にはお願いしたいところです。
 もう高齢者の骨粗鬆症や圧迫骨折は臨戦状態から戦争状態に移っているほど逼迫した状態です。生活習慣病の治療をするのと同じレベルで骨粗鬆症の治療もして圧迫骨折を含む骨粗鬆症性骨折を予防していかないと、心肺系は元気だけれど動けないという方々が激増してしまうのではないかと思います。70歳を超えて血圧やコレステロールの薬は飲んでいるけれど骨粗鬆症の薬は飲んでいないという女性には、高齢になったら「生活習慣病と骨粗鬆症はセットで」という感覚が一般化してほしいものです。

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