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2017年8月10日 (木)

低尿酸血症と急性腎不全

 尿酸値が高いと痛風を起こすことがあるのは有名ですが、尿酸値が低いことにはあまり関心がないものです。尿酸値が低くて困ることがあるのかというと、それがあるのです。
 尿酸値が常に2以下の方は、代謝障害で尿酸が排出されすぎている可能性があります。尿酸というのは体に必要ないものかというと、そんなことはありません。尿酸は非常に抗酸化作用の強い物質で、体に不必要な物質という訳ではありません。
 尿酸が低くても通常はあまり支障ありませんが、運動後の急性腎不全を起こすことがあるということを知っていた方がよいかもしれません。運動後の急性腎不全というと横紋筋融解のよるミオグロビン尿症に伴う急性腎不全が有名ですが、低尿酸血症に伴い、運動後に急性腎不全を生じることがあることが報告されています。
 運動後の急性腎不全で横紋筋融解によるものは、マラソンなどの長時間、負荷の強いスポーツや活動で生じやすいのに比べて、低尿酸血症によるものは短時間の短距離走やサッカーなどで生じやすいということです。
 低尿酸血症による急性腎不全の場合、運動から数時間から半日で発症することが多いようですが、翌日に発症した例もあり注意が必要です。整形外科的には、腰背部に激痛を生じることがあり、運動翌日に腰背部痛を生じて来院された場合診断できるかどうかこの疾患が頭に入っていないと難しいと思います。嘔吐を伴うことも多いため通常の腰痛とはかなり印象が異なり、救急を受診されることが多いとは思いますが。
 この疾患は比較的若い方に生じることも多く、若いと検診を受けていない場合が多く、いつも尿酸が低いかどうかは分からないので一層診断が難しいかもしれません。
 運動後の急性腎不全の要因として、運動前の消炎鎮痛剤の服用もリスクとして報告されていますのでこれも注意が必要です。
 尿酸というと高いことばかりを気にする傾向がありますが、検診のたびに極端に低い場合は専門医へ紹介する必要があるかもしれません。

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