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2018年3月 6日 (火)

「治らない」と言う方が難しい?

 よく「これで治る。」「これでスッキリ解消。」「5分で良くなる。」「〜〜が良くなる10つの方法」などという広告を目にします。テレビでも名医の先生たちが、「これで良くなる。」という単純明快な解説をしています。しかし、現実には腰痛や肩こりや膝痛の方が減っている気配は一向にありません。
 膝痛や腰痛や、その他様々な疾患も、一時的な疼痛で順調に良くなる確率の方が高いものです。最初はなるべく生活習慣の改善や体操や運動療法、逆に負荷がかかっている方は安静にしてみるなど、医療的介入に頼らない方法で経過を見ていただいた方がよいと思います。
 ただ、中にはどうしても順調には治らない状態もあります。肩で言えば腱板断裂や炎症性疾患や変形性肩関節症、膝で言えば無腐性壊死症や骨挫傷、末期の変形性関節症、腰椎で言えば不顕性の圧迫骨折、すべり症や高度な狭窄症などなど。すぐ治りますよとはとても言えない状態の方も少なくありません。
 誰にでも「これで良くなりますよ。」とか「すぐに良くなりますよ。」と言えればどれだけ医師の仕事は楽でしょうか。インスタ映えではないですが、メディア映えするキャッチコピーでサプリや本を売って商売した方がどれほど賢い生き方だろうと思います。腰痛の方にみんな骨盤が曲がってますよと言って矯正してほら治ったと言えるだけの度胸があればどれほど楽かなと思います。 
 最近、「いろいろ試したけれど治らないから来た。」というセカンドオピニオン的な方が少なくないように思います。サプリや体操からテレビでやっていたことからいろいろ試されて、どうしても治らないとのことです。診察してみると、根治的にはすぐに治りそうもない状態なことがよくあります。そんな時には、これは現状すっきりとは治りません。と言うことも少なくありません。過度な期待を持たせてみても仕方がないですし、どうにもならないことも人生にはあるものです。
 例えば末期の変形性膝関節症や無腐性壊死症では、延々と薬やリハビリを行っても治らない状態であればしっかりと手術の適応であることを伝えて検討していただかないといけません。絶対に手術は嫌という方もいますが、それであれば車椅子の使用や自宅内に手すりを付けたり年齢によってはヘルパーさんを依頼したりといった環境整備も必要です。腰痛でも、ストレスや心因性の腰痛などでは鎮痛剤を投与しても何をしても原因となっているストレスや精神的な問題が解消しないとすっきり治るのは難しいものです。狭窄症で神経障害が進行してきていれば、やはり手術を選択せざるをえないこともあります。なかなか治らない腰痛はもしかしたら転移性の腫瘍かもしれません。診療所でも年に数人は癌性疼痛の方を診断するものです。肩の痛みでも、多くの方が五十肩だと思っていますが、意外と純粋な五十肩の方は多くはないです。肩の腱板が断裂していれば、自然に元通り修復することはほぼありません。それでも腱板の機能が代償されてほぼ治る方も少なくありませんが、時間はかかります。
 「これは現状すぐには治らないですね。」などというと、またまたドクターショッピングに旅立つ方もいらっしゃいますが、ご本人やご家族が納得できるまである程度は仕方がないかもしれません。
 様々な投資話やネズミ講もそうですが、甘い言葉にこそ疑いの目を持った方が賢いのではないかなと思います。

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