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2018年5月13日 (日)

ハラスメントと言えば

 我々おやじは悪臭がするらしいですね。人間、年を取れば年を取っただけ貫禄のある匂いがするものです。それを嫌な顔をして消臭しないといけないようなCMを流すことは「体臭ハラスメント」ではないのでしょうか。
 人間年を取ると頭髪が減るものです。体質的に生まれつき無毛の方もいます。髪が薄いのがあたかもいけないことのような風潮を形成するのは、「薄毛ハラスメント」ではないのでしょうか。私はもう少しで薄毛になったらブルースウィルスのようにさっぱりしようと思います。
 人のコンプレックスを助長してビジネスにつなげるのはいかがなものかと思います。
 手に付いた常在菌を「ばい菌」として殺菌しないといけないような風潮を形成するのも、不安神経症を助長して除菌殺菌依存に陥らせるだけです。子供の頃はいじめでよく「ばい菌」という言葉が使われたものですが、人の手に菌がいることをいけないことのように言うのは「常在菌ハラスメント」ではないのでしょうか。人の身体には常在菌はいるものです。殺菌しようとして何の意味があるのでしょうか。

 翻って医療界ではどうでしょう。最近、「フレイル」という言葉をよく聞くと思います。フレイルというのは「加齢とともに心身の活力(運動機能や認知機能等)が低下し、複数の慢性疾患の併存などの影響もあり、生活機能が障害され、心身の脆弱性が出現した状態であるが、一方で適切な介入・支援により、生活機能の維持向上が可能な状態像 」とのことだそうです。  言いたいことは理解できます。なるべく健康寿命を延ばそうという努力も正しいと思います。しかし、人間必ず老いるものです。人が老いていくことを何かいけないことのように吹聴することも、「加齢ハラスメント」となるのではないでしょうか。診療所で長く診療していると、元気だった方も、食事や運動に気をつけていた方も徐々に動けなくなったり、認知症になってしまったりします。
 老衰の方を看取るようになって、人生というのは太陽が東から昇って西に沈むように自然な流れであり、例え日が暮れてもアフターファイブを楽しむ気持ちでいるように悲嘆しない方がよいのではないかと思うようになりました。健康に気をつけること大切ですが、人生が暮れていくことについて達観していくことも必要です。
 フレイルも、商魂たくましい各業界が集まってきています。フレイル予防のためにサプリを飲みましょう。フレイルはこんな運動で予防できます等々。人が老いることを何かいけないことのように吹聴することに違和感を感じてしまうのは間違った考えでしょうか。
 フレイルやロコモティブ症候群の予防には、何歳になっても何か生きがいを持って活動することが一番良いような気がします。体操や運動が苦手だったら何か遠出するような趣味を持って出かけてみる。カメラを担いで遠くの景色を撮りに行くだけでもかなりの運動になります。おいしい物を食べに小旅行に行ってみてもかなり歩くと思います。近所を散歩してスケッチしたり俳句を詠んでみることでも頭を鍛えることになるでしょう。夕食に惣菜を買って済ませたり買い物を何でも宅配にしてしまうのではなく、今まで作ったことのないお料理にチャレンジしたり買い物に歩いて行ったりするだけでも頭を使ったり有酸素運動になったりします。
 必ずしも何かを買ったり参加費用を払うことがよい対策である訳ではありません。フレイルを罹患率100%の疾患と捉えるか、誰もが通る道と捉えるか。前者とすると我々医療機関や介護機関にも商機なのですが、それに安易に乗っかるべきではないような気もしています。

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