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2018年6月24日 (日)

EBMに溺れる専門医

 今でもEBMを盲信している専門医の講演会を拝聴すると、やるせない気持ちになります。別にEBMを否定する訳ではありません。現在のEBMには確実に大きな問題がありますが、その点に気づいていないのか、あえて気づかない振りをしているのか。

 問題の一つは、そのEBMは何歳まで対応なのかが定かでないことです。例えば90歳を超えて老衰の域に達している方に、コレステロールを低下させる薬が投与され続けていることは少なくないのですが、いったい何歳くらいまで動脈硬化や塞栓形成を防止する治療を続けるべきなのか。一度治療を開始したら止められないのか。実は超高齢者の投薬は根拠に基づかずに行われていることも少なくありません。整形外科的には骨粗しょう症の治療をいつまでどう行うかどうか悩ましいところです。 

 もう一つは、多数の疾患が合併している方にどうEBMを対応させるのか定まっていないことです。年齢が上がり、様々な疾患を持っている世代に対して、それぞれの専門医がEBMに基づいた治療を行うと、投薬が雪だるま式に増えます。循環器内科専門医から降圧剤、内分泌内科からコレステロールや血糖値を下げる薬、消化器内科医から胃薬や便秘の薬、脳外科医から抗血小板薬、整形外科医から鎮痛剤や骨粗しょう症薬、精神科医から認知症の薬などなど。専門医は他科からの薬より自分の薬を飲んでほしいとそれぞれ思い、自分の薬を削ろうとはなかなかしません。多剤多用するとよくないというEBMもあるのですが…。

 医師向けの教育研修講演というのは、結局最新の薬を使い続けましょうというまとめで終わることが多いのですが、開始された薬を終わらせるのは結局専門医の所には行かれなくなって診療所へ逆紹介されてきてからか在宅診療になってからだったりします。

 専門医のビジネスモデルとして、小児科のように薬を短期しか使わない科より生涯薬が必要な疾患の専門医の方が有利という構造も根底から変えることを考えないといけないでしょう。

 そろそろ専門医としても、自分の処方する薬を終わらせるタイミングということについて真剣に考える時期にきています。

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