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2018年6月27日 (水)

むしさされ

以前も書きましたが、この季節はむしさされで腫れ上がったり、水疱ができたりする方が少なからず来院されます。
この状態になる方は市販のステロイドではランクが弱く、なかなか効きません。
また、しばらくして腫れがおさまったとしても、さされたところがしこりになり、掻いていると半年間かゆい皮疹がつづくことも結構あります。
むしさされで腫れ上がった場合は皮膚科を受診され、一番強いステロイドなどを1-2週間全くおさまるまで塗る必要があります。
最初が肝腎で、最初におちついてしまえばぶり返すことなく治癒します。
しかし、1ヶ月以上かゆみがつづいて来院された場合は一番強いステロイドを使っても治すのが困難な場合がしばしばあります。
むしさされで腫れ上がった場合は1週間以内に来院してください。

2018年6月25日 (月)

肘内障は何歳まで?

 肘内障というのは、幼少期に手を引っ張ったりして肘の部分で橈骨頭が外れてしまう疾患のことです。前腕には橈骨と尺骨の2本の骨が並んでおり、肘部分では主に尺骨が上腕骨と大きな関節を形成してます。橈骨頭は尺骨に輪状靱帯という靱帯で固定されていますが、幼少期にはこの構造が弱い(柔らかい)ので手を引っ張ったり、中には寝返りしたりした際に亜脱臼したり脱臼したりしてしまうことがあります。肘内障の注意点としては、転んだ後とかに痛みが出ていると骨折の可能性もあり、きちんと骨折や捻挫を除外診断することが大切です。

 この肘内障ですが、通常は2~4歳くらいの子供に多く、一部何回か再発する子もいますが小学校に上がる頃には靱帯等がしっかりしてきて外れることはなくなります。

 稀に小学生以上の子供に起こることもあります。小学校以上ですと整形外科医としても肘内障は念頭になく、捻挫や骨折を中心に考えがちです。「肘を痛めて救急病院を受診し、レントゲンを撮って特に大きな外傷はないと言われたけれどまだ肘が痛くて動かせない」という場合、肘に腫脹も皮下出血もなく純粋に屈曲などができない状態では肘内障も鑑別に入れる必要があります。

 論文では2000例以上の肘内障の症例を振り返ったところ最高齢で9歳だったという報告がありました。自分の経験では最高齢は12歳中学1年男子でした。バスケで手をついた時に右肘が痛くなり来院されました。腫脹なく、X-Pで骨傷なく、何かよく分からずいたのですが肘伸展軽度回内位でいたため診察として屈曲させてみたところコキッとクリックを生じて以後痛みも取れて動かせるようになりました。当時は超音波検査はなく、画像的に確認はできませんでしたがほぼ肘内障で間違いないと思います。10歳の子でやはり肘を痛めて救急病院を受診し、骨折はないと言われて来院された子の場合、伸展位で動かせず、肘外側に圧痛がありましたので最初から疑いました。今は超音波検査ができますので、肘内障の所見と周囲の損傷が確認できました。小学校以降の子供では純粋な肘内障ではなく、周辺の損傷を伴って亜脱臼位になっている可能性が低くないため、より慎重な評価が必要と思います。この子の場合は整復操作でクリックがあり超音波検査上輪状靱帯の位置は正常化しましたが周囲の腫脹と損傷がありましたのでシーネ固定にて経過観察とし、しばらくしてから軽快しました。なので診断としては肘内障状態を含む肘関節挫傷とするのが正しいでしょうか。

 肘内障は小学校以前と決めてかかると見落とすことがあります。稀ではありますが、腫れていない、動かさなければそれほど痛くない、などの場合小学生でも肘内障もあり得ます。肘内障は最初に整復すればすぐに治まりますが、整復されずに伸展位を長期に続けていると輪状靱帯が痛んできたりして整復も困難になってきますので注意が必要です。

2018年6月24日 (日)

EBMに溺れる専門医

 今でもEBMを盲信している専門医の講演会を拝聴すると、やるせない気持ちになります。別にEBMを否定する訳ではありません。現在のEBMには確実に大きな問題がありますが、その点に気づいていないのか、あえて気づかない振りをしているのか。

 問題の一つは、そのEBMは何歳まで対応なのかが定かでないことです。例えば90歳を超えて老衰の域に達している方に、コレステロールを低下させる薬が投与され続けていることは少なくないのですが、いったい何歳くらいまで動脈硬化や塞栓形成を防止する治療を続けるべきなのか。一度治療を開始したら止められないのか。実は超高齢者の投薬は根拠に基づかずに行われていることも少なくありません。整形外科的には骨粗しょう症の治療をいつまでどう行うかどうか悩ましいところです。 

 もう一つは、多数の疾患が合併している方にどうEBMを対応させるのか定まっていないことです。年齢が上がり、様々な疾患を持っている世代に対して、それぞれの専門医がEBMに基づいた治療を行うと、投薬が雪だるま式に増えます。循環器内科専門医から降圧剤、内分泌内科からコレステロールや血糖値を下げる薬、消化器内科医から胃薬や便秘の薬、脳外科医から抗血小板薬、整形外科医から鎮痛剤や骨粗しょう症薬、精神科医から認知症の薬などなど。専門医は他科からの薬より自分の薬を飲んでほしいとそれぞれ思い、自分の薬を削ろうとはなかなかしません。多剤多用するとよくないというEBMもあるのですが…。

 医師向けの教育研修講演というのは、結局最新の薬を使い続けましょうというまとめで終わることが多いのですが、開始された薬を終わらせるのは結局専門医の所には行かれなくなって診療所へ逆紹介されてきてからか在宅診療になってからだったりします。

 専門医のビジネスモデルとして、小児科のように薬を短期しか使わない科より生涯薬が必要な疾患の専門医の方が有利という構造も根底から変えることを考えないといけないでしょう。

 そろそろ専門医としても、自分の処方する薬を終わらせるタイミングということについて真剣に考える時期にきています。

2018年6月11日 (月)

COX1とCOX2

 従来鎮痛剤として最も使用されてきた消炎鎮痛剤(NSAIDS)は炎症反応を抑制することにより炎症を抑えて痛みを緩和します。炎症反応を抑制する経路のシクロオキシゲナーゼ(COX)を阻害するのが主な作用ですが、このCOXにはCOX1COX2の2種類が存在します。

 COX1は消化器、腎臓、血小板などに常に発現しており、臓器の恒常性維持に必要です。COX2は炎症などで誘導され、炎症を促進する物質などを合成します。

 なので、炎症止めの薬としてはCOX2のみを抑える薬が理想と考えられ各種COX2阻害薬が開発されましたが、COX2は血管拡張作用や血が固まるのを抑える作用があり、これを抑制してしまうと心血管系の副作用を生じる可能性があるため開発が中止されたものもあります。現在使用できるCOX2阻害薬ではセレコックスが有名です。

 COX1は消化器や腎臓の機能維持に必要なため、COX1を阻害してしまうと胃潰瘍や腎機能障害を生じます。なのでCOX1を抑制する作用は少ない方がよいと考えられています。COX1は血小板機能にも必要なため、COX1を阻害すると血が固まることが抑制されます。この作用を使って、いわゆる「血をサラサラにする薬」として使用されています。COX1選択性の強い薬としてはバファリン、バイアスピリンが有名です。

 腎臓に関してはCOX2も阻害する作用があるため一概にはCOX2が良いとは言えませんが、消化器障害に関してはCOX2選択性の強い薬剤の方が障害が少ないことが分かっています。

 COX1COX2の選択性は薬剤により様々で、どちらも抑制する物と抑制する比率が異なる物があります。医師としては胃の具合や心血管疾患の有無、腎機能等を鑑みて薬剤を選択しています。

 ここで「あれ?」と思っていただきたいのですが、現状整形外科で処方される痛み止めよりも内科や脳外科から「血をサラサラにする薬」として処方されている薬の方が胃に悪いというケースもあり得ます。

 実際バイアスピリンでもバファリンでも胃潰瘍等を生じることは分かっており、鎮痛剤とそれほど差はないはずなのですが、内科や脳外科から処方された薬で胃が痛いという方はあまりいない印象です。「整形外科からの薬は胃が痛くなるけれど、内科からの薬では胃は痛くならない」と思っている方も少なくないのではないかなと思います。「胃が弱いから痛み止めは飲めない。」という方は多いですが、お薬手帳を見るとバイアスピリンが長期で処方されている…ということもよくあります。

 消炎鎮痛剤は基本的に炎症を抑える作用なので、神経痛には効果は期待できません。あくまで炎症を伴った病態に使用するようになってきています。最近は神経痛用の薬など様々な鎮痛剤があり、整形外科からの鎮痛剤がすべて胃に悪い訳でもありませんが、なかなか風評というのは変えられないものです。

2018年6月 6日 (水)

前向きな世界と後ろ向きな日本

 カリフォルニア州のマリブ市という所でプラスチック製のストローが禁止されたそうです。アップルは再生可能エネルギーを使用する工場へ製造を発注する方針になっていますね。ボルボは全車種をEVにするとのことです。パタゴニアは大量生産大量消費から脱却し、長期間使えて修理可能な商品を作ることを目指していますね。

 日本はどうでしょう。政治、経済、社会が昭和の頃はよかったな~と言っているようですね。今の日本でプラスチック製のストローを禁止しようとか言ったら受け入れる人がどれ位いるでしょうか。レジ袋とか、過剰包装とか、ペットボトル飲料とか、使ってしまうたびに罪悪感を感じている人がどれ位いるのでしょうか。イチイチイチイチ罪悪感を感じなから生きているのは結構辛いことです。物事を正しい方向へ進めようとすると大抵大きな苦痛を伴うものです。

 今の日本人は目の前の現実を忘れて竜宮城で暮らしているのでしょうか。このまま行くと、いつか国際社会から玉手箱を手渡されてしまうような気がします。開けてみると日本の現実が出てきて、今の太平な世の中が一気にしぼんでしまうかも。

 プラスチック製品やレジ袋やペットボトル飲料などが世界の非常識になったらと考えると。日本にはそれらを使わなくても何とかする知恵が本来備わっているはずなのに。それに変わる製品を作る力が本当はあるはずなのに。どこを成長させるべきなのか。成長戦略という言葉が泣いている気がします。

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