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2018年6月25日 (月)

肘内障は何歳まで?

 肘内障というのは、幼少期に手を引っ張ったりして肘の部分で橈骨頭が外れてしまう疾患のことです。前腕には橈骨と尺骨の2本の骨が並んでおり、肘部分では主に尺骨が上腕骨と大きな関節を形成してます。橈骨頭は尺骨に輪状靱帯という靱帯で固定されていますが、幼少期にはこの構造が弱い(柔らかい)ので手を引っ張ったり、中には寝返りしたりした際に亜脱臼したり脱臼したりしてしまうことがあります。肘内障の注意点としては、転んだ後とかに痛みが出ていると骨折の可能性もあり、きちんと骨折や捻挫を除外診断することが大切です。

 この肘内障ですが、通常は2~4歳くらいの子供に多く、一部何回か再発する子もいますが小学校に上がる頃には靱帯等がしっかりしてきて外れることはなくなります。

 稀に小学生以上の子供に起こることもあります。小学校以上ですと整形外科医としても肘内障は念頭になく、捻挫や骨折を中心に考えがちです。「肘を痛めて救急病院を受診し、レントゲンを撮って特に大きな外傷はないと言われたけれどまだ肘が痛くて動かせない」という場合、肘に腫脹も皮下出血もなく純粋に屈曲などができない状態では肘内障も鑑別に入れる必要があります。

 論文では2000例以上の肘内障の症例を振り返ったところ最高齢で9歳だったという報告がありました。自分の経験では最高齢は12歳中学1年男子でした。バスケで手をついた時に右肘が痛くなり来院されました。腫脹なく、X-Pで骨傷なく、何かよく分からずいたのですが肘伸展軽度回内位でいたため診察として屈曲させてみたところコキッとクリックを生じて以後痛みも取れて動かせるようになりました。当時は超音波検査はなく、画像的に確認はできませんでしたがほぼ肘内障で間違いないと思います。10歳の子でやはり肘を痛めて救急病院を受診し、骨折はないと言われて来院された子の場合、伸展位で動かせず、肘外側に圧痛がありましたので最初から疑いました。今は超音波検査ができますので、肘内障の所見と周囲の損傷が確認できました。小学校以降の子供では純粋な肘内障ではなく、周辺の損傷を伴って亜脱臼位になっている可能性が低くないため、より慎重な評価が必要と思います。この子の場合は整復操作でクリックがあり超音波検査上輪状靱帯の位置は正常化しましたが周囲の腫脹と損傷がありましたのでシーネ固定にて経過観察とし、しばらくしてから軽快しました。なので診断としては肘内障状態を含む肘関節挫傷とするのが正しいでしょうか。

 肘内障は小学校以前と決めてかかると見落とすことがあります。稀ではありますが、腫れていない、動かさなければそれほど痛くない、などの場合小学生でも肘内障もあり得ます。肘内障は最初に整復すればすぐに治まりますが、整復されずに伸展位を長期に続けていると輪状靱帯が痛んできたりして整復も困難になってきますので注意が必要です。

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