巻き爪(陥入爪)のガター法
爪の角が脇の皮膚に食い込み痛みや化膿を起こす状態を巻き爪(陥入爪)と言います。最近の学生はカバンが非常に重いためか扁平足や開張足が多いためか陥入爪の子が多いように思います。軽い陥入爪であれば処置をしたり抗生剤を使ったりテーピングしたりで改善する場合もあります。陥入爪が続いてくると肉芽を形成して慢性化し、なかなか治らない状態に陥ることもあります。
慢性化した陥入爪に対しては、爪にワイヤーを入れたりプレートを貼って脇を上に上げる治療や爪の生えてくる母体の所まで端を少し切って母体の所をフェノールで焼いて爪そのものの幅を減らす治療などがあります。ワイヤーやプレートは金属が爪に付いているので保持できなかったり処置が必要だったり、フェノール法は幅が永続的に狭くなってしまうという問題点もあります(最終的にフェノール法が必要になる方もいますが)。
うちの子も陥入爪になりなかなか治らずいろいろ試しましたが、結局ガター法という小手術を行い治まりました。ガター法というのは爪の母体までは切らず、爪の見える根元付近までやや斜めに切って爪が巻かないようにする治療ですが、試行錯誤した結果切った爪の脇が再度食い込まないようにチューブを加工したものを爪の側面に手術糸で縫着するように工夫しました。こうすると、手術翌日からほぼ痛くなくなり、日常生活動作に特に制限を生じません。特に処置も必要無く入浴時に洗えば大丈夫です。また、爪にチューブを縫着してあるので、通常チューブは数ヶ月はそのまま固着しています。爪が伸びてくれば母体は処置していないので元の爪の形に戻り爪の幅が減ったままになってしまうということもありません。伸びてくると爪を縫着している糸の位置が先の方に移動してきて、最終的にはチューブは外れると思いますが、中途半端でズレてきたりしたらチューブを縫着している糸を切ってしまえば終了です。
この方法を行うと、症状もなくなり処置も必要無いのでしばらく再診されない方が多いので、最初のうちはどうなっているのか経過がやや心配でしたが、子供に行って家で経過を見ていましたが何の問題ないから受診の必要もないという感じでした。
当院では陥入爪の通常の診察は皮膚科で、ガター法を行う時には整形外科で行っています。通常はまず皮膚科を受診していただきご相談ください。最初からガター法をご希望の方は直接整形外科を受診してください。手術は10~15分程度で終わりますが、足趾ブロック麻酔をしたりするので小一時間かかる見込みで、受診してすぐに行うことは困難です。外来が空いていればそのままその日に行うこともありますが、通常別の日の昼休みに予約でご来院いただき行っています。
当院のガター法は恐らくかなり良い方法だと思います。自分の母趾の爪もやや巻いていますが、悪化したらこの方法で自分でやれたらやろうかな?と思っています。宣伝するとたくさん行うことになって昼休みがなくなってしまうかもしれないので敢えて広めようとはしませんが、もし他の方法で改善せずお困りでしたらご相談ください。