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2019年11月25日 (月)

飲み込みづらさのある肩こり?

 肩こりというと、大抵は肩関節の痛みではなく肩甲骨付近や後頚部の痛みを訴える方が多く、整形外科的には肩の疾患ではなく頚椎の疾患などを想定します。

 肩こりを診察する場合、安静時痛や夜間痛や増悪傾向などがないかどうか、神経症状を伴っているかどうかなどに気をつけて診察しています。それほど多くはないのですが、飲み込みづらいという症状を伴っている場合も少し注意が必要です。

 後頚部や肩甲帯の痛みに飲み込みづらさが加わっていて一番心配なのは後咽頭腔という所の感染性疾患などです。歯科領域や耳鼻科領域の感染が広がって生じる場合や、頚椎の化膿性椎間板炎が前方に波及した場合などがありますが、この場合かなり危険なので早くに総合病院での精査加療が必要です。

 強直性脊椎炎や強直性脊椎骨増殖症など脊椎が骨化して固まってくる疾患で、頚椎の前方に大きな骨棘という隆起を生じると、飲み込みづらいと話される方もいます。支障が大きい場合は、骨棘切除という手術となることもあります。

 感染ではないけれど頚椎前方に炎症を生じる疾患もあります。上位頚椎の周囲に石灰が沈着する疾患では、レントゲンでは分かるか分からないかの程度の石灰沈着を生じても頚部が痛くて動かせなかったり、飲み込みづらいという方も居ます。そこまで痛くない方も居て初期診断が難しい方もいますが、この疾患であれば通常の炎症止めで順調に治ることが多いです。

 その他には甲状腺疾患などでも飲み込みづらいという方が居ますが、この場合内分泌内科への紹介が必要となることもあります。

 飲み込みづらいという症状は整形外科には関係ないのではないかと思われている方もいますが、一応受診される時にはお話いただけますと正しい診断に近づくかもしれません。

2019年11月13日 (水)

母趾は母指にはふつう負けない。

 腰痛などの診察の時、医師としては疼痛の具合以上に神経障害の有無に注意を向けているかもしれません。腰痛のみの場合と、神経障害がある場合では想定する疾患が異なってくるので精密検査の進め方や治療の進め方が違ってきます。

 神経障害というと、力が入らなくなったりしびれたり感覚が低下したり、歩行が困難になったりすることが症状として現れることが多いです。頻尿や便秘も神経障害の可能性があり注意が必要です。神経障害については、はっきり症状が出ていればご本人もわかりますが、ご本人が自覚していない神経障害も時にあります。

 ご本人が分かっていない神経障害として、足の親指の力が抜けているだけという場合があります。

通常は、足の親指(母趾)を上に上げる力は手の親指(母指)で上から押す力に負けることはありません。なので、腰痛を生じていたら、母指で母趾を押してみるとよいかもしれません。簡単に足の親指(母趾)が下に下がってしまうようだと神経障害で筋力低下している可能性が高いです。腰痛に伴う母趾の神経障害ですと、腰椎の下の方の椎間板ヘルニアや狭窄症、すべり症等が疑われます。早めにMRIなどで神経が潰されていないか確認するとよいかもしれません。

2019年11月 7日 (木)

負け戦

 先の大戦の時、南方の島に送られた小隊の隊長はいったいどんな心持ちだったのでしょうか。現場を目の当たりにすれば、到底勝ちようがない戦であることは分かったでしょうに。大本営の作戦がうまくないのに、そのまま玉砕の道を選ばざるを得ない心境だったでしょうか。それとも自分や部下がなんとか生き延びることを優先しようと考えたのでしょうか。

 現在の医療を現場で見ていると、何か小隊の隊長の様な気分になってきます。現在のやり方では到底うまくいかないでしょう。それは恐らく国の中枢もメディアも頭では分かっているはずだと思います。その中で、理性と倫理観を持って負け戦を最後まで戦い抜けという命令は絶対なのでしょうか。

 今抱える簡単な疑問として、そもそもどうなのか聞いてみたいことがいくつかあります。ひとつは、なるたけ儲けようと頑張る人と、なるべく儲けないように頑張る人とだと、いったいどちらが儲かるのでしょう。医療介護機器の展覧会に行ってきました。もう儲けたい熱気ムンムンで、逆に冷めていく自分がいました。国やメディアは、医療機関にはなるべく儲けないように働きかける一方医療介護関連産業にはなるべく儲けるように働きかけています。多くの医療機関が経営難に陥り、大学病院などでは医師が無給で働き、多くの医師が一般の職業の方が過労死する2倍の時間働けという規則の中で働く一方、同じ診療報酬から収益を得ているある種の企業は増収増益を重ねている。我々医師はこの国で医師として仕事をしてゆくべきなのか。資本主義社会の中で、なるべく収益をあげないように頑張れということがどういう意味を持つのか。

 社会保障というのはランチバイキングなのか一杯のかけそばなのか。多くの方が、自分には公的サービスをなるべく多く提供してほしいと思っているような気がします。自分は極力自制、自律するから本当に困った人の方にできるだけ公的支援を回してくれと思っている方がどれくらいいるのでしょうか。サービスを提供する側として、なるべく多くのサービスを提供するべきなのでしょうか。最小限のサービスに絞るべきなのでしょうか。

 なぜ現在の方策が延々と続いているのでしょうか。国の中枢で恐ろしく頭の切れない方々が既存の社会保障を存続させようと奮闘しているのか、非常に頭が切れる方々がいったん破綻させてリセットしようと画策しているのか。日本の底力を信じるなら後者でしょうか。結局どちらにしても負け戦。潔く散っていくのが美学なのかもしれません。

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