主治医の在り方
昔から当院へ通院していた方が、90歳を超え通院困難になり自宅から出られないようになり、ケアマネやデイサービスのみ利用していて体調が悪くなり病院に搬送されそのまま亡くなりました。
当院へは介護保険更新の時だけ介助されて受診するのみとなっており、在宅診療をお勧めしていた方でしたが、結局在宅診療にはなりませんでした。
通院でも在宅診療でも、定期的に医師の診察を受けていないと、いざ亡くなったときに死亡診断書は記載できず、自宅で亡くなった場合は警察が介入し検案されることとなります。自宅でご家族が自然に看取ったつもりであっても結局警察沙汰になってしまったことがあり、最期の時が少し不穏なことになってしまい申し訳ない気持ちになったことがあります。
介護保険を申請したり更新したりする時に、医学的な状態を評価するため主治医意見書というものを記載して提出する必要があります。当院でもたくさんの方の主治医意見書を記載しており、徐々に増えているような気がします。
最近は文頭のような方もあり、主治医の役割とは何だろうかと考えることがあります。
例えば総合病院へ3ヶ月毎に受診しているけれど診療所にはどこも通っていないという方が、当院に初めて来院されて主治医意見書を記載してほしいという場合があります。一応かかりつけの総合病院の医師に書いてもらった方がよいのでは?と話してみますが、「総合病院には薬をもらいに行っているけれど、ほとんど話をしないし、地元で書いてもらった方がよいと言われた。」等ということで依頼されます。こういう場合、初めて会った医師が主治医として意見書を記載するべきなのかどうか。
最近は、初めに書いた例のように介護保険更新の時にしか受診されない方も少なくありません。普段ケアマネが訪問し、デイサービス等には通っているけれど医療機関は受診しないというケースです。前回受診が1年前とか、最近は2~3年で更新になることもあるのでそうすると数年ぶりに診察して日頃の医学的評価を記載するように言われても、本当に書いて良いものかどうか。
在宅診療は現状国として推進するため高額に設定されており、金銭的に厳しくて導入できないのかもしれません。在宅診療も、隔週か1ヶ月に1回訪問することとなっており、もう少し柔軟に安定している方には3ヶ月に1回訪問診療するような制度とか、24時間対応ではないけれど時々往診するような設定が必要なのではないかなと思います。
普段接している介護職の方々は医療機関を受診していないことは何とも思わないのでしょうか。できれば最期自宅で自然にお看取りしようという意識が介護職の方にはない場合もあるのかもしれません。何かあれば病院へ搬送すればいいという意識が今でも根強いのかもしれません。何かさみしい気もしますが、現実は厳しいものです。
主治医やかかりつけ医のあり方というものも変えていかないといけない時代に突入していますね。「在宅診療は高くて嫌だけれど時々往診してほしい」。という希望にも(法的にグレーですが)応えるようにしようかどうか。働き方改革的に大丈夫かどうか。少し悩ましいところですがもし何かあればご相談ください。
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