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2020年4月20日 (月)

オンライン診療とプロポーズ

 普段、我々医師は結構簡単に診察しているように見えているかもしれませんが、患者さん一人一人に対して、プロポーズする時と同じ真剣さで向き合っています。絶対離婚しない覚悟で全ての責任を取るつもりでプロポーズする時と同じ気持ちでなければ、人の皮膚を切り開いたり劇薬指定の薬を処方したりはできないものです。それでも訴訟になってしまう医療もあり得るのがこの世の中の難しいところです。

 当院でもオンライン診療を行うことにしました。今まで、オンライン診療に関してはシステムを販売したりクレジットカードを利用させたりして経済界にお金を落とすことが最大の目的だろうと思っていたので参入に躊躇していました。実際に診察しないで診療するということは、実際に触れ合ったことのない人と結婚するような感じでイメージできないのですが昭和生まれだからでしょうか。本当に社会保障費を使ってオンライン診療を行っていくのであれば、電子カルテからオンラインシステムからカードレス決済まで、国や医療団体が主体となって安価なシステムをまず普及させ、不十分な診療でコミュニケーション不足や誤診を生じても訴訟にならないという法的な後ろ盾がなければならないはずです。今回は様々な疑問がありますが、新型コロナウイルス対策としては必要悪だと判断して導入することにしました。

 初診でオンライン診療をするということは、要するに絶対離婚できない社会で一回も直接会ったことのない人とインターネットテレビで少し話した段階でプロポーズできるのか、という課題と同じです。経済界の人々やメディアの人達は、そんなこと簡単だと思っているのでしょう。そういう時代なのかもしれませんが、3次元の住人にはなかなかハードルの高い課題です。

 我々医師は会話や見た目だけで診断している訳ではありません。普段は診察室に入ってきた時の雰囲気、微妙な体の動き、目線や匂い、診察での皮膚の質感や湿度、体を動かした時の抵抗感がススッとしているかギシギシしているのか、腫れている関節がプニュプニュなのかグニュッグニュなのか。5感6感をフルに働かせて診断していっています。高齢の方の肺炎では、発熱も咳もなく、何か雰囲気が悪いという勘から胸部レントゲンを撮影して肺炎と診断することもあります。下肢の浮腫でも、聴診で心雑音を聞かないと弁膜症による浮腫には結びつかないかもしれません。

 今は風邪や腰痛などには様々な市販薬が売っています。「診察までは必要ないけれどオンライン診察は必要」という領域がうまく想像できません。本当にオンライン診療は行ってみないと適応や正しさがよく分からないのが正直なところです。予約時間や実行時間も需要や行ってみての反応で適宜変更していきたいと思います。以上のようなことをご了承の上、ご利用をご検討いただけますと幸いです。

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