2024年7月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      
無料ブログはココログ

« 2021年5月 | トップページ | 2021年7月 »

2021年6月30日 (水)

間違ったメッセージ

 決して新型コロナウイルスは夜行性で夜に感染しやすい訳ではありません。飲食店が時短営業になり、昼間の飲み屋さんが盛況な様子を見ると活況で嬉しくなったりしますが、日中であっても近距離で歓談していれば感染する確率は高まるでしょう。 

 ワクチンの副反応がよく取り上げられていますが、副反応の対策として爆発的に売れている解熱鎮痛剤や消炎鎮痛剤も副作用の可能性が低くないでは。ワクチンによるアナフィラキシーを特別に問題視するなら、副反応で使用された鎮痛剤によるアナフィラキシーも問題視しないといけないのでは。日頃多くの方に鎮痛剤は副作用があるから飲めないとか飲まないとか言われ、なるべく鎮痛剤も最小限使うようにしたいと思っている身からすると、副反応の対策で早めに鎮痛剤を飲んだ方がよいと言うのはどうなのだろうかと思います。

 認知症の方々を日々介助するヘルパーさんや、マスクもつけずに密になって遊ぶ子供達を見守る保母さん達や、コロナ禍でも休まず現場に行き働いている方々へのワクチン接種がいつになるか分からない一方で、テレワークの進む大企業からワクチン接種を進めていますね。日本の支配階層がどの辺りか何となく分かってしまう事象なのかもしれません。

 手指消毒の有効期間がどの位か考えたことがあるでしょうか。お店の入り口でアルコール消毒をしたら、いつまでその消毒が有効なのでしょう。外科医的に考えると、それは次にその人の身体の別の部位や持ち物を触れるまでかと思われます。その人の手指にウイルスが付着しているとしたら、その人の他の部位や手荷物にも付着していると考えるのが自然です。お店の入り口でアルコール消毒しても、10秒後にポケットに手を入れたり鞄を触ったらもう元の木阿弥です。外科医のように手を空間に保持して移動しないと頻回の消毒など意味がないかもしれません。もし商品や店内の物からワクチンをもらわないためにアルコール消毒をするのだと思っている方がいるとしたら、それは期待薄でしょう。 

 最近はなんでもかんでも殺菌、除菌するような宣伝が多いですが、臨床医は自宅内を除菌したりはしないでしょう。普段から抗生剤の使用を最小限にしようとしている位ですから、常在菌を下手に乱さないことの方が大事であることは臨床経験から実感していると思います。そもそも人体の内外にも、家庭内のあらゆる場所にも常在菌がほぼ無限にいることは普通のことです。共生していると言った方がよいのかもしれません。菌がいることより強力な殺菌剤などを乱用することの方が恐ろしいという感覚を持った方が健康だと思います。

 発熱早期にしてもワクチンのことにしても、かかりつけ医に相談するように政府もメディアも医師会ですら言いますが、そもそも日本はかかりつけ医というものと設定していません。誰がかかりつけ医なのかはっきりしません。かかりつけ医とはどんな医師のことでしょう。かかりつけ医というのは専門医とは違います。医師側も患者さん側も限りなく専門医指向の高い日本でこんな時だけかかりつけ医と言う言葉を使っても、何もうまくいかないことでしょう。あたかもかかりつけ医という存在があるように伝えることは、国もメディアも日本の医療について何も分かっていないということなのかもしれません。それをいうと医師会が一番いけないのかもしれませんが。

 欧米は新型コロナワクチンに打ち勝ちつつあり、日本は負けているように思っている方もいるかもしれませんが、国民の総死亡数という点からいうと、欧米は増加していますが日本は増加していないようです。つまりある意味日本は今回のパンデミックに勝っている国で、欧米は負け越していると言うこともできるかもしれません。今後医療面でも経済面でもどうなっていくのかはよく分かりませんが。

 日本の病床数は世界一なのに中小病院が対応しないのはけしからんと思っている方も少なくないかもしれませんが、そもそも新型コロナウイルスは指定感染症になっています。指定感染症というのは、完全防護でき高度な医療が提供できる特定の病院以外の医療機関は診療してはいけないという意味だと多くの医師は思っています。指定感染症を診断したら直ちに全例保健所に報告し、その後は保健所が指定感染症対応可能な病院へつなげるという流れになっています。 一般の医療機関が扱ってはいけない指定にし続けながらどこでも対応しないのはおかしいと言うのは日本語として矛盾しているような気がするのですがどうなのでしょう。

 いろいろな情報も、捉え方が難しいですね。一方向からのみ捉えない方がよいのかもしれません。

2021年6月19日 (土)

皮下異物(刺さった物)

 何かを刺してしまったということで来院される方が時々います。多い物は、木片、ガラス、シャーペンや鉛筆の芯、バラなどの棘といったところでしょうか。たまにウニの棘や栗の棘の方もいます。

 表面から見えたり触れたりすれば分かりやすいのですが、皮下に埋没されていたりほとんど表面から見えないと、残っているのかどうかから検討が必要です。

 ひとつ大切なことは、何か入っているかもしれないと思ったら創は密閉しない方が安全です。特にハイドロコロイド製の創傷被覆材等で密閉すると膿でドロドロになったりしてよくないです。浸出液は排出するようにしておいた方が安全です。

 木片は最初大丈夫でも残っていれば後からほぼ化膿してきます。当初化膿していない時には分かりにくいこともあり、エコーで見て推定して基本局所麻酔下に切開切除します。引き抜くと、破片が皮下に残ってしまうことがあり、注意が必要です。分かりにくい木片で特定が疑わしい場合は少し経過を診ていただき腫れてきたり化膿してきた部位を切開することもあります。竹などを踏むと、意外と縦に深く刺さっていることもあり局所麻酔では厳しく病院へ依頼して下半身麻酔などで拡大切開洗浄などとなることも稀にはあります。

 ガラス片はほとんど化膿せず生体の反応が乏しいので、皮下に埋まったままずっと過ごしている方もいます。子供の頃割れた窓ガラスを踏んで怪我をしたという方が、数十年経って足の裏が痛いとのことで調べると足底にガラスが残っているということもあります。最近はエコーで反射する物体として発見しやすくなっていますが、細いガラス片や複数に散在している物はよく分からないこともあります。小さなガラス片では切開して皮下組織を観察しても透明なので見えないこともあり、ピンセットでつまんでガリッという感覚でやっと見つかることもあり、取る方もヒヤヒヤします。

 シャーペンや鉛筆の芯は真っ黒なので分かりやすいですが、黒い色が周囲の皮膚や皮下組織に沈着してしまうと洗っても取れません。そのままにすると入れ墨になってしまうので、黒いところは切除するしかないかもしれません。目立たない位であれば、創を広げるよりピンポイントで小さなほくろのような黒点があっても気にならないようならそのままでよいかもしれません。もし気になる様なら後から切除するか、形成外科的に処置してもらうとよいです。

 ウニや栗の棘は小さい物が多数刺さっていると泣きたくなりますが、取るしかないかもしれません。ごく浅い物は自然に取れることもありますが。

 めずらしい物としては鉄砲の弾を取ったこともありますが、これは刺さった物とは違いますかね。

 皮下異物については、治療する側も非常に気を遣います。1mm以下の異物でも痛かったり化膿したりすることがあり、きちんと見つけられるか、全て取り切ったかどうかなど。診療所では浅い部位のシンプルな物は対応可能ですが、深い物や散在している物などは病院へ依頼となります。

2021年6月 4日 (金)

オリンピックレストラン

 当店はコンパクトな造りにしてコストを掛けず、三つ星シェフの最高の料理を割安の1万円で提供します。というレストランに予約を入れたとします。

 程なくして、設備投資や食材の確保などに予想外にお金がかかったため料金を一人23万円にしますがご了承ください。という通知が一方的に来ます。それはあんまりでは?と苦情を入れても、そういうものです。と一瞥もしない。キャンセルしたいんですがと伝えても、もう契約上キャンセルはできませんと。

 予約日頃に巨大台風が来て行かれそうもないと伝えると、どのような災害が来てもレストランは開店しますのでキャンセルは無理ですと言われます。

 それでは軍用の装甲車でも手配して何とか行きますのでよろしくお願いします。と伝えると、現状来店は大変危険なので、来店はご遠慮願いますとのこと。シェフやスタッフでおいしく食べさせていただきますので、その様子をリモートでご覧いただき心ゆくまでお楽しみください。とのこと。

 我々も特別な装備をしたり、予防措置をしてお店まで行かないといけないので、後でその費用も請求しますのでよろしくお願いします。因みに、我々がお店に無事に行かれるようにエッセンシャルワーカーや医療関係者はどんな嵐の中でも働いてもらいます。とまで言われます。

 こんな場合、どう考えればよいのか。大変なお店に予約を入れてしまった自分を恨むしかないのでしょうか。昔、歌舞伎町などによくあったお店の類いですが、まだなくなってはいないのですね。怖い怖い。人が成長するには痛い人生経験が必要なのかもしれません。必要なことは、そのような運営をする会社がこの世には存在するということを知ること。そのようなお店には2度と近づかないようにすること。今後同じ被害に遭われる方が出ないよう、広く世界にそこがどんなお店か知らせることなのかもしれません。

 いっそ逆にみんなで突撃してみるという手もあるのかもしれません。どうしても自分で味わいたいと現場に行ってしまうという。スポーツ観戦自体は、決して感染リスクが高いとは思えません。広いスタジアムで収容人数を制限し、全員マスクを着用してスポーツ観戦のみを行っている限り、そうそう感染はしないでしょう。もちろんマスクを外しての歓談や観戦前後に飲食で弾けることなく直帰することが前提ですが。そういうことを全員が守れるのかどうか。夏頃には多くの高齢者はワクチン接種を受けており、若者の死亡率は低いので、特攻精神があるのであればそれもアリなのかもしれません。もちろん医療関係者もそれぞれ夏期休暇を取ります。これだけ世の中が自分時間を持っている間、医療関係者は有休も取らず通常以上の運行をしているのですから、夏も休むなとは誰も言えないでしょう。もし発症して呼吸苦となった時に病院に入れなくても文句は言わないという誓約が必要かもしれませんが。

« 2021年5月 | トップページ | 2021年7月 »