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2022年1月29日 (土)

かかりつけ医とは何か

 COVID19の前から疑問を抱いているのですが、日本の医療制度下で、「かかりつけ医」という言葉を使う時、それは何を意味しているのでしょうか。

 諸外国の何かあったら最初に相談する総合的な診察をする家庭医的な意味で使っているのであれば、基本的に日本ではかかりつけ医制度は採用されていません。

 以下のような場合、かかりつけ医というのはどの医師のことなのでしょうか。

 3ヶ月に1回程度、大学病院や有名病院を含む基幹病院に定期的に通院し、体調が悪くなったり怪我をした時だけ診療所を受診するという方は少なくありません。その場合、かかりつけ医は病院の医師と診療所の医師とどちらなのでしょうか。普通に考えれば臨時でたまにしか受診しない医師より、定期的に診察している医師がかかりつけ医なのではないでしょうか。

 専門医の専門性もどんどん細分化しており、内科では各臓器や疾患毎、整形外科でも関節毎になっており、高齢者などは内科で複数科を受診し、整形外科でも脊椎と膝と違う病院に通院していたりします。例えば高血圧と糖尿病と便秘を別々の医師が診察している時には、かかりつけ医は何科の医師が受け持つのでしょうか。

 整形外科でも腰椎はA病院、膝関節はB病院に定期的に通院しているという方が、足が痛いということで診療所に来院されます。定期的に病院でレントゲンを行われているのに、痛くなったら近くのかかりつけ医に診て貰うよう言われたという方もいますが、初診でかかりつけ医と言えるのでしょうか。

 こういう事例もあります。内科に月に1回通院しているけれど、動けなくなってきたことは内科では分からないと言われて整形外科へ介護保険主治医意見書記載希望で受診される方もいます。そうすると整形外科へは介護保険の申請や更新の時に主治医意見書記載のためだけに受診されるということもあります。いつも病院に通院している方に初めて会って主治医意見書を依頼されて、記載するのが正しいのかどうか。23年に1回診察して、かかりつけ医ということでいつもの様子を記載することができるのかどうか。

 「かかりつけ医」という言葉は、それぞれの立場で都合良く使われています。なのでそれぞれの立場で想定している医師像が異なります。病院の専門医は、「近所の医師」という意味で使っているものと思います。別に普段診察しているかどうかは気にしていないのでしょう。厚生労働省は、「その相談に乗ってくれる医師」という意味のことが多いように思います。大学病院の医師でも診療所の医師でも問題が解決されればよいのでしょう。市役所でも、いつも診察しているかどうかは気にしていません。初めて会う方に主治医意見書を記載しても何の問題もありません。一般の医師の間では、自分の専門領域については自分がかかりつけ医だけれど、それ以外のことについては自分はかかりつけ医ではない、と思っている方も少なくないように思います。

 コロナ禍の現在、かかりつけ医に相談するよう国などは言いますが、診療検査実施医療機関マップというものがネット上に公開されている中で、一般内科の登録の少なさはいかがなものかと思います。

 諸外国のように、何でもまず相談する家庭医という存在が日本にはほぼいないので、かかりつけ医と言う言葉を日本で使う人は、どういう意味で使うのか少し考えてみる必要があります。

 誰か近所の方々が家庭医のように相談できる診療所というコンセプトで一緒に働いてくれる医師はいないものでしょうか。実は現在絶賛募集中です。

 

2022年1月15日 (土)

戦時の科学者

 オミクロン株はもう世の中に蔓延しており自然にピークを越えて収まっていくのを待つありませんね。

 年末から年始にかけて強い社会活動制限を行わなかった時点で、1月中旬からの受験シーズンにオミクロン株が爆発的に増えていくことは決まりました。もう果てしなく検査をしつつ発熱外来を行いつつ自宅療養の経過観察をしながらワクチンを前倒しで最大限するという、何の工夫もない作戦を決行する国のようです。

 先手を打つのであれば時に直観による大胆な作戦が必要です。確実なデータが揃うまで待っていたら敵を出し抜くことなどできないでしょう。外国でオミクロン株が流行して世界に拡大していった時、専門家の方々はエビデンスに基づいたきちんとした分析が出ないと正しいことは分からないと言い続けていましたね。分析結果が出るまで待っていてはもう遅いということは端から明らかだったのに。まるで「新型爆弾の威力は2回ぐらい実際に経験しないと分析できない」と言っているようなものです。

 全てを末端の現場に丸投げした結果どうなったか。この春にしっかり分析してもらいましょう。

 

2022年1月 7日 (金)

キズパワーパッドの大罪

 最近は普通のカットバン以外にも様々な創傷被覆材が販売されてます。テレビコマーシャルでも早く治る、きれいに治ると宣伝しているので、利用している方も少なくないと思います。ただ、医療機関には間違った使い方をして傷が悪化してから来院される方が明らかに以前より増えています。

 キズパワーパッドは、主に擦り傷に使用するものです。一番注意しないといけないのは、犬や猫などに噛まれた傷には使わないということです。噛み傷の場合、基本的に創の内部に雑菌が侵入していると考えて対処しないと大変なことになります。咬創に密閉される創傷被覆材をすぐに貼ると雑菌や膿が中に溜まって感染が悪化する原因になります。咬創の場合、出血はしばらく止血せずに流水で洗って流した方がよいです。傷が皮下に及んでいるようならできれば医療機関を受診した方が安全です。ごく浅い傷であれば自己処置でもよいかもしれませんが、密封せずに出血や浸出液を吸収してくれる素材で被覆し、こまめに流水で洗うか消毒するようにした方がよいです。

 包丁で切ったり額をぶつけて割れた傷にも使うべきではありません。傷が開いたままキズパワーパッドを付けて数日後によくならないということで来院される方がたくさんいます。切り傷なら最初に来院されれば順調に治るのですが、時間が経った切り傷は後から縫合したり固定用テープで閉創すると中で化膿する可能性もあり基本開放創(開いたまま)にして自然に閉じてくるのを待つことが多いです。創部のズレが大きかったりした場合は麻酔をしてよく洗浄して縫合し直すこともあります。切り傷にキズパワーパッドを使うと治りが遅れると思っておいた方が無難です。

 擦り傷の場合も注意しないといけないことは、まだ汚れている創には貼ってはいけないということです。水道水でいいので、きちんと洗って少なくとも砂利や砂が付いていない状態にしてから貼らないと化膿してしまう原因になります。

 もう一つはわずかな擦り傷なら最初から使ってもよいかもしれませんが、浸出液が多い状態で最初から使うと、中に浸出液が溜まってジクジクと蒸れてしまったり、膿が溜まって外にあふれ出てきたりと、あまり良い経過にはなりません。浸出液が多いうちは、吸収性素材の創傷被覆材を使うか、創にくっつかないガーゼを使用した方がよいことが多いです。

 子供の傷の場合、特に夏だと、飛び火(伝染性膿痂疹)を生じてしまうこともあり得るので、浸出液が多い受傷初期はハイドロコロイド系の創傷被覆材ではなく浸出液を吸収してくれるものの方がよいと思います。

 たまに熱傷などに貼ったり水疱ができている所に貼ってしまう方もいますが、剥がすときに水疱の薄皮が一緒に剥がれることになるので、これも避けた方がよいです。

 因みに怪我でドラッグストアに行くと大抵抗生剤入りの軟膏を買わされますが、これもほぼ必要ないです。今でも救急病院では処方されることも少なくないですが、抗生剤入りの外用剤は外傷に使っても使わなくても経過に差はないと思います。病院ではガーゼがくっつかないようにしたいのが主な目的かもしれません。本当はワセリンを塗ればよいのではないかと思いますが、外傷でワセリンが制度上使いづらいので抗生剤入り軟膏を使うのかもしれません。ただ、医療機関へ受診前に何か外用剤を塗ってしまうと、キズを固定用テープで固定しようとしたときにくっつかなくなり縫合するしかなくなる場合もありますので、受診前には何も塗らないでいただきたいと思います。

 テレビのCMでは怪我をした子供が芝生などに座っていてハイドロコロイド系の創傷被覆材をそのまま貼っているように見えるものがありますが、これは絶対に行ってはいけない方法です。明らかに間違った方法をCMで流すというのはいかがなものかと思いますが、日本というのはスポンサー様が絶対なのでどうしようもないのかもしれません。

 

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