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2022年1月 7日 (金)

キズパワーパッドの大罪

 最近は普通のカットバン以外にも様々な創傷被覆材が販売されてます。テレビコマーシャルでも早く治る、きれいに治ると宣伝しているので、利用している方も少なくないと思います。ただ、医療機関には間違った使い方をして傷が悪化してから来院される方が明らかに以前より増えています。

 キズパワーパッドは、主に擦り傷に使用するものです。一番注意しないといけないのは、犬や猫などに噛まれた傷には使わないということです。噛み傷の場合、基本的に創の内部に雑菌が侵入していると考えて対処しないと大変なことになります。咬創に密閉される創傷被覆材をすぐに貼ると雑菌や膿が中に溜まって感染が悪化する原因になります。咬創の場合、出血はしばらく止血せずに流水で洗って流した方がよいです。傷が皮下に及んでいるようならできれば医療機関を受診した方が安全です。ごく浅い傷であれば自己処置でもよいかもしれませんが、密封せずに出血や浸出液を吸収してくれる素材で被覆し、こまめに流水で洗うか消毒するようにした方がよいです。

 包丁で切ったり額をぶつけて割れた傷にも使うべきではありません。傷が開いたままキズパワーパッドを付けて数日後によくならないということで来院される方がたくさんいます。切り傷なら最初に来院されれば順調に治るのですが、時間が経った切り傷は後から縫合したり固定用テープで閉創すると中で化膿する可能性もあり基本開放創(開いたまま)にして自然に閉じてくるのを待つことが多いです。創部のズレが大きかったりした場合は麻酔をしてよく洗浄して縫合し直すこともあります。切り傷にキズパワーパッドを使うと治りが遅れると思っておいた方が無難です。

 擦り傷の場合も注意しないといけないことは、まだ汚れている創には貼ってはいけないということです。水道水でいいので、きちんと洗って少なくとも砂利や砂が付いていない状態にしてから貼らないと化膿してしまう原因になります。

 もう一つはわずかな擦り傷なら最初から使ってもよいかもしれませんが、浸出液が多い状態で最初から使うと、中に浸出液が溜まってジクジクと蒸れてしまったり、膿が溜まって外にあふれ出てきたりと、あまり良い経過にはなりません。浸出液が多いうちは、吸収性素材の創傷被覆材を使うか、創にくっつかないガーゼを使用した方がよいことが多いです。

 子供の傷の場合、特に夏だと、飛び火(伝染性膿痂疹)を生じてしまうこともあり得るので、浸出液が多い受傷初期はハイドロコロイド系の創傷被覆材ではなく浸出液を吸収してくれるものの方がよいと思います。

 たまに熱傷などに貼ったり水疱ができている所に貼ってしまう方もいますが、剥がすときに水疱の薄皮が一緒に剥がれることになるので、これも避けた方がよいです。

 因みに怪我でドラッグストアに行くと大抵抗生剤入りの軟膏を買わされますが、これもほぼ必要ないです。今でも救急病院では処方されることも少なくないですが、抗生剤入りの外用剤は外傷に使っても使わなくても経過に差はないと思います。病院ではガーゼがくっつかないようにしたいのが主な目的かもしれません。本当はワセリンを塗ればよいのではないかと思いますが、外傷でワセリンが制度上使いづらいので抗生剤入り軟膏を使うのかもしれません。ただ、医療機関へ受診前に何か外用剤を塗ってしまうと、キズを固定用テープで固定しようとしたときにくっつかなくなり縫合するしかなくなる場合もありますので、受診前には何も塗らないでいただきたいと思います。

 テレビのCMでは怪我をした子供が芝生などに座っていてハイドロコロイド系の創傷被覆材をそのまま貼っているように見えるものがありますが、これは絶対に行ってはいけない方法です。明らかに間違った方法をCMで流すというのはいかがなものかと思いますが、日本というのはスポンサー様が絶対なのでどうしようもないのかもしれません。

 

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