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2022年2月 8日 (火)

アキレス腱付着部症

 アキレス腱の踵付近の痛みにて来院される方には幾通りかのパターンがあります。スポーツでのアキレス腱断裂や損傷とは異なりはっきりとした原因のない場合についてですが、場所や病態で分けて考える必要があります。

 場所としては、踵の角に近い部位が痛い場合、踵の骨の上端くらいの部位が痛い場合、その数センチ上くらいが痛い場合、踵の骨から5~10cm位上が痛い場合という感じです。病態としては腫れのない場合、赤く腫れている場合、膨隆はしているけれど赤く腫れてはいない場合に大きく分けられるように思います。

 昔はアキレス腱付着部炎と、炎症が主と考えられていましたが、最近は付着部症と、付着部の障害が主で炎症性疾患とは別に考えられることが主流となってきました。炎症性の病気に伴ったものはやはり今でもアキレス腱付着部炎と考えられるので、「炎」と「症」で区別することは時に非常に難しいものです。

 外来で診察時に超音波検査でアキレス腱を見ると、障害のある部位のアキレス腱が太くなって中の線維が荒くなって見えます。異常な血流増加がない場合から激しく燃えているように見える場合まで様々あり、すべてを付着部症と捉えることも難しく炎症と障害とが様々な比率で起きているように思います。

 治療としては、以前は炎症と捉えられていたため炎症止めの薬と使うことが主でした。最も即効性のある治療がステロイドの注射であることは今も昔も変わらないように思いますが、炎症には著効しますが障害には効かず、ステロイド注射をすると腱組織が弱くなり断裂するなどの副作用を生じる可能性も稀ではあるものの否定出来ず、最近ではなるべく注射は控える方向になっています。炎症が主体の病態では注射することもありますが。

 スポーツをしている場合はもちろんですが、基本は負荷を減らすことです。ウォーキングやジョギングをしているようなら少し休んでみるか、調整メニューとして負荷を減らしてみる、少し踵を上げる足底板を使ってみる、足関節のサポーターなどで足首の動きを制限すると軽減することもあります。下腿から足底のストレッチも行ってみるとよいかと思います。医療としては最初の段階として炎症止めの湿布や塗り薬、内服を行ってみることは一般的に行われています。それですんなり治まる方もいますが、「症」の場合効果の発現率としてはそれほど高くありません。

 報告としては体外衝撃波治療の有効性がよく挙げられています。これは行ってみてもよいものと思われます。私自身、学会に行ってこの機械が置いてあると自分の肘などで試してみるのですが、かなり痛いです。スイッチを入れると当てた部分にバチッと痛みがあり、毎回「痛ッ」と声を出してしまいます。なので、自分だったら辛くて耐えられないなと思うと、患者さんに薦めるのもやや躊躇されるので当院では採用していませんが、要望が多ければ導入しても良いかもしれません。

 最近、PRP療法という自己血を使った治療も報告が多くあります。これは自費診療になり保険診療ではできません。ただ、高額であるのに総合的な結果報告では今ひとつ効果が定まっていないところがやや薦めることに躊躇する要因です。もう少しRCTで効果が定まったら導入してもよいかもしれませんが、現状当院では導入する予定はありません。

 筋膜リリースという注射療法も流行しています。ブロック注射などと将来的な評価がどうなるかやや微妙な印象ですが、症状の軽減する方もいますので試みる場合もあります。

 治療の基本は負荷の低減とリハビリテーションなのかなと思います。経過が長い場合、専門医へ紹介することもあり一部手術となります。ただ多くの場合紹介後、病院でも経過観察となり同じような治療で何となく治ることが多く、紹介する時期が治る時期だった可能性が高いような印象であることが多いです。

 炎症性疾患としてのアキレス腱付着部炎であれば、脊椎関節炎や乾癬に伴うもの、痛風のような場合もありそれぞれに適する薬を使う必要があります。

 すぐにすっきり治るとは言えない病態ですので部位や経過で治療について希望も含め相談になるかと思います。

 

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