痛風も進化している?
痛風というと、典型的には母趾の根元のMP関節というところが急に赤く腫れて激痛を生じ、眠れない一晩を過ごし翌日の朝足をひきづって整形外科へ来院される、というイメージです。
気のせいかもしれませんが、そういう痛風のイメージが最近やや違ってきているように思います。もちろん典型的な症状で来院する方は今でも少なくありません。典型的な場合は、まずは炎症止めを処方して痛みや腫脹が治まってきたら尿酸値を下げる薬を開始して食生活や生活習慣を見直して再発しないよう心がけていただくというのが一般的なコースです。消炎鎮痛剤を内服すると数日から1週間程度で痛みも腫れも治まり、以後は尿酸を下げる薬だけを継続すれば発作はあまり起きないという印象でした。
最近は、なかなか発作が完全に治まらない、治まって尿酸値を下げ続けても数週とか数ヶ月ごとに発作を繰り返す、母趾MP関節ではなく、足首の周囲や肘、手、肩など非典型的な部分に炎症を起こす、など痛風なのかどうかから迷うような方も少なくありません。足以外の関節や腱の骨に近い部分、膝の前側などの滑液包という部分、腱鞘などに痛風が起こることは知られており、それほど不思議ではありませんが非典型的な場合はレントゲンや血液検査、超音波検査などを組み合わせて診断を進めます。その結果、やはり高尿酸血症が原因でよいだろうということになる場合がちらほらあります。
痛風以外の関節炎が考えにくい状態でもなかなか炎症が治まらない場合は、炎症止めの薬等を継続して経過観察します。尿酸値を下げる薬と炎症止めを併用して再燃しないことを確認するまで比較的長期に内服を続けることもあります。尿酸値は通常7.0程度以下が正常範囲となっていますが、尿酸結晶を減らしていくためには尿酸値を6.0未満にしないといけないと言われており、正常範囲でもまだ下げる必要のある場合もあります。
痛風発作を起こしたことがない方は、尿酸値を下げる必要があるかどうか等主治医の先生とよく相談されるとよいかと思います。高尿酸血症では、体質的に生活習慣病等がなくても尿酸値が上昇している方もいますが、多くの場合は生活習慣を改めるのが基本です。摂取カロリーを減らすのが第一かと思いますがやはり飲酒はやめてみるか機会飲酒程度にするとよいとは思います(無理な人が多いですが依存症でなければご一考を)。
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