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2022年5月 9日 (月)

ベーカーのう腫破裂

 膝の後ろが腫れているとのことで来院される方は少なくありません。赤く腫れていたりすることなく、膨れているようになっている場合は膝窩部ガングリオン(ベーカーのう腫)というものである可能性が高いかと思います。

 これは膝関節を包んでいる関節包が変性(痛んで)してきて穴ができ弁状になり関節液が外に漏れていき、袋状の組織の中に溜まっていくことによって起きることが多いです。悪い物ではないので、運動などに支障がなければ放っておいても大丈夫です。大きくなってくるとしゃがんだ時などに膝窩で圧迫され痛かったりしゃがむことが困難になったりします。歩行自体はそれほど障害されることはないように思いますが、歩行に支障がある場合は膝関節自体の問題によるところが大きいと思います。

 この膝窩部ガングリオンは、時に破れることがあります。大きなガングリオンが破れると下腿背側の方に内溶液(サラサラの液体の場合とゼリー状に固くなっている場合があります)が流れ落ち、下腿以遠が浮腫んだり腫れたり内出血が広がったりすることがあります。

 下腿~足全体が赤く腫れたり内出血したりしていると、細菌感染による蜂窩織炎や深部静脈血栓症(エコノミークラス症候群)などと鑑別診断が必要です。特にもともと関節リウマチの様な滑膜炎のある方ですとより感染性疾患や血栓などとの区別が難しいこともあります。大きなガングリオンが破れて拡散すると静脈を圧迫して実際に深部静脈血栓を生じている場合もあり得ます。

 診断としては超音波検査や採血が主で、場合によりMRI検査やX-Pなども必要です。ベーカーのう腫の破裂が原因と分かれば、基本的には吸収されてくるのを待つのが主であまり心配はありません。炎症止めの内服をしたり弾性包帯で圧迫したりします。ベーカーのう腫破裂のみと診断できる場合は炎症止めのみで大丈夫ですが、腫れ具合などでは抗生剤や血栓治療の薬を使用することもあります。

 膝の後ろにガングリオン(ベーカーの種)があると指摘されている方は、下腿が急に腫れたらベーカーのう腫の破裂も念頭におくとよいかもしれません。通院中の方で医師側も把握している状態ですと診断は比較的容易ですが、破裂して初めて診察する場合、最初に蜂窩織炎や深部静脈血栓を医師が考えてしまうかもしれません。そうすると方向性が違うので検査や治療が適切に行えない可能性もありますが、大きなガングリオンがあったと言っていただけますとそれを手がかりに縮小したガングリオンを確認できれば診断に到達しやすいかもしれません。

 

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