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2022年5月 4日 (水)

画像検査の適応と限界

 昨今の科学技術の進歩に伴い、高精度のCTMRIなどの画像検査を行うと正しく診断できると思っている方が多いと思います。ある意味それは正しいことですが、一方ではそう考えると落とし穴に嵌まる可能性があります。

 例えば変形性膝関節症では、レントゲンで関節の間がすり減っていることが診断根拠の一つとなりますが、関節の間が完全に無くなっている方でもまったく痛くない方も少なくありません。膝のMRIを行うと当然軟骨欠損、半月板損傷と診断されますが、症状とかみ合っていない所見にどれほどの意味があるのかどうか。画像所見で高度変形性関節症と診断されると手術等を勧められると思いますが、症状や機能状態、家庭の状態なども併せて治療方法は決めていく必要があります。

 腰椎のMRI検査をすると年齢とともに神経の通路が所々狭くなっていることが少なくありませんが、それが全て脊柱管狭窄症となるかと言うと、必ずしもそうではありません。椎間板ヘルニアが存在していても、そのヘルニアが現在の症状を起こしているかどうかは画像だけでは分かりません。

 どうしてこういう現象が起こるかと言うと、臨床的な意味と画像所見はパラレルではないということです。我々医師は問診と診察所見でほぼ89割は診断をしています。画像検査というのはその診断を確かめるために行います。決して画像検査で診断してそれを診察所見で確かめる訳ではありません。

 例えば骨折では、骨折面がフィルムに対して垂直に位置した状態で撮影しないときちんと写りません。なので診察してこの骨がこういう角度で折れているだろうということを類推した後でないと正しいレントゲン撮影は行えません。MRI検査でも診察所見でここの神経が障害を受けているだろうという類推をした上でオーダーしないと正しい診断には繫がりません。

 また、精密検査をする目的もしっかり考えないといけません。例えば肋骨が骨折しているかどうかレントゲンでは分からないことがあります。最近はエコーで見て診断することが多いですが、医療機関によってはCTを行うことがあります。ただ、CTで肋骨骨折が判明したとしても、治療はそのまま様子を見るか、鎮痛剤を処方するかが主です。肋骨骨折があるかないかという意味でCTを行う意味はあまりありません(ひどい胸部損傷で肺挫傷の有無などを確認する意味では有意義ですが)。腰椎のMRIも、試しに撮ってみたいというだけで行うと、余計心配になったり迷ってしまったりする場合もあるので、基本狭窄やヘルニアが見つかったら手術も検討するとかいう状態の場合に精密検査を受けるとよいかもしれません。

 精密検査はお勧めしても希望されなかったり、逆に必要ないと思われる方でも精査を希望されたりとご希望は人やその時の状態によりそれぞれです。社会保障費増大の問題もありますし、なるべく必要最小限で適切に行えるように相談できるとよいなと思います。

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