戦況報告
もう診療所の電話は鳴り止みません。大変申し訳ありませんが、たくさん検査や診察のお断りをしています。末端の現場はすでに破綻しています。
大本営発表では、「敵はマシンガンを乱射しているけれど皆さん通常通り活動しましょう。」とのことです。[敵のマシンガンの間近では特に防御は必要ありませんが、街中を歩く時には鍋を被って防御しましょう。]と盛んに報道しています。
被弾した人が押し寄せている最前線ではもう検査もしないようになっているところもあります。対症療法だけして自宅に帰しているようです。なので現在の被弾人数の発表数も氷山の一角です。
マシンガンの弾丸が鉛玉なのか、ゴム弾程度なのか、BB弾なのか。国は判断できないようです。とりあえず鉛玉設定になっていますが、完全に防護する必要はないと主張しています。医師の間でも、鉛玉設定で動いている人も居ればゴム弾程度だと主張する人、BB弾だという人もいて対応はバラバラです。すでに末端の現場ではもうあちこちに弾丸が飛び交っていて鉛玉設定ではテント張りの野戦病院では活動していられませんが。
政府はあくまでワクチンの接種を優先したいようです。怪我人であふれる野戦病院に元気な人を集めろと言っているようなものですが、元気な人をたくさん診療する野戦病院という風景を想像できるのでしょうか。発熱外来を行う医療機関が何故増えないのか。自らも被弾する可能性のある戦場真っ只中の野戦病院で働くのと、戦地からは離れた所でワクチンをたくさん接種するのとを比べて、野戦病院を選択する人が増えていくものでしょうか。
市中で被弾したかもしれないと心配な人々の背中をめくって弾が当たったかどうかを調べるだけで莫大な収益を上げている人たちがいますね。それはいいのですが、被弾した人達を野戦病院に丸投げしてくるので国への登録だけでも大変な手間になっています。そもそも全例登録を人力で行うようにしている国がどれだけあるのでしょうか。
現状末端の現場では発熱などした方々への対応、国への登録作業、ワクチン接種と三重の負荷を与えられています。本当に日本には負荷を減らす工夫が何にもできないのでしょうか。
アセトアミノフェンやロキソプロフェンは以前からOTC化されドラッグストアで販売されていますね。症状の軽い人は医療機関へは行かないでセルフメディケーションしなさいというのが国の方針でドラッグストアも宣伝していなかったのでしょうか。これだけ末端の医療機関が軽症者で破綻している段階で、今セルフメディケーションしなくていつするのでしょうか。
平日の仕事だけでスタッフが過労で倒れないかどうか心配するくらいなのに、国も都も休日も働いたら支援金を支給するとか宣っていますね。馬の鼻先にニンジンをぶら下げているつもりなのでしょうが、満腹の暴れ馬の前にニンジンを差し出す人のようです。やはり我々医療関係者は人間扱いされていないようです。働き方改革というのは余裕のある職種がさらにゆとりを持つための作業だけのようです。
毎日インフラを支える職種の人々に自宅療養を指示していますが、世の中がどこまで回るのか。日本の上の方は本当にひどい有様ですね。本音と建て前ここに極まれりでしょうか。