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2022年12月31日 (土)

2022年末

 

 今年も暮れていきますね。今年も医療機関としては結局コロナ対応に追われた1年でした。今年はこれからの日本の医療がどこに向かうのかが垣間見えてきた1年でもあったように思います。きっと今政府が言っていることとは異なる方向に進むことでしょう。それが既定路線なのでしょうが。現実的にその方向を見越して軌道修正していかないといけないなと思います。やはり馬鹿正直に考えてはいけないのが世の常なのでしょう。

 今年は色々勉強した1年でした。それらを少しずつでも還元できれば良いなと思います。来年からの数年間は勝負の年なのかもしれません。まあそもそも真っ向勝負すべきではない年月なのかもしれませんが。

 来年こそは日本もコロナ後の世界になっていって欲しいと思います。流石にそろそろ人類は微生物には勝てないということは把握した方が良いのではないかと思います。全体としては共存していくしかないのが現実です。問題はどう共存していくのかという点なのかと思いますが。

 コロナの話題は今年で終わりにしたいと思います。もっと別の大事なことを語っていくべきなのではないかと。人それぞれが様々な位置に立っていて大切な人生を歩んでいます。日本は世界で最も可能性のある国であることは間違いないと思います。どうしたら前向きになれるのか。もしかするとネガティブであることを楽しむことが必要なのかもしれません。

2022年12月28日 (水)

偽関節リウマチ

 慢性的な関節炎を起こす病気としては関節リウマチが有名かと思います。関節リウマチは自己免疫が自分の関節を攻撃してしまい慢性的に関節炎を起こし、長期的には関節が壊れていき様々な機能障害を生じてしまう疾患です。診断としては血液検査でリウマチ反応を調べたりレントゲンで骨破壊の有無を調べたり、最近ではエコーやMRIで骨髄浮腫や関節の炎症を確認したりします。

 慢性的に関節炎を生じていたり、発作的な関節炎を繰り返したりしているものの関節リウマチの診断には至らない状態で診断と治療に難渋することが時々あります。

 乾癬や掌蹠膿疱症など皮膚疾患を伴えばそれに伴う関節炎、脊椎や仙腸関節が骨化していれば脊椎関節炎や強直性脊椎炎、他の膠原病があったり、甲状腺疾患があるとそれに伴う関節炎、などなど様々な関節炎が鑑別診断に挙がります。

 そういう慢性的な関節炎の中で、激痛を生じ救急搬送されるような関節炎を繰り返す場合があります。激痛発作を起こす関節炎というと痛風が有名かと思いますが、痛風の場合、尿酸を低下させる薬を飲み続けてきちんとコントロールしていくと発作は多くの場合起きなくなります。

 痛風に似ている発作ということで偽痛風という疾患がありますが、痛風は尿酸結晶が関節に沈着して生じるのに対して、偽痛風はカルシウム系の結晶が関節に沈着して生じます。カルシウム系のためレントゲンで白く写ります。

 偽痛風の経過には様々なタイプがあり、最も診断と治療に難渋するのが慢性的に多数の関節が炎症を起こし続けるタイプです。これはもう関節リウマチとほぼ変わらない状態ですが、関節があまり破壊されていかないことのみが幸いというところでしょうか。こういう関節炎を偽関節リウマチと呼ぶことがあります。

 偽痛風は、カルシウム系の結晶を除去したり関節に沈着するのを防ぐような根治的な薬などはなく予防が難しい疾患です。激痛発作の頻度がわずかな場合は、発作時に短期間炎症止めを内服したり関節注射したりして治療します。発作を散発的に繰り返す場合はできれば常に消炎鎮痛剤を持参しておいて痛くなってきたり腫れてきたら前兆の段階で内服されるとよいと思います。

 偽関節リウマチと呼べるような関節炎が継続するタイプの場合、NSAIDSという普通の消炎鎮痛剤も効果があることが多いのですが、切れると激痛発作で救急受診を繰り返すという方もいて長期内服せざるを得ない場合もあります。COX2中心のNSAIDSで関節炎を抑えられればそれでもよいかと思いますが胃カメラや腎機能評価を定期的に行う必要があります。NSAIDSでも抑えきれない場合や、胃潰瘍の既往があったり腎機能が低下している場合は関節リウマチの薬を使用することもあります。関節リウマチの薬などは医学的に確実に推奨されている訳ではありませんがNSAIDSの長期内服での効果や副作用とを勘案して使用することになります。

 慢性型の偽痛風は短期的には発作時通常の消炎鎮痛剤で治まるため、発作時に総合病院を受診しても偽痛風だから注射や短期内服でよいと判断され、膠原病内科へ紹介しても関節リウマチではありませんと診断され逆紹介で終診となってしまうことも多く、なかなか長期的なコントロールが難しい状態です。関節リウマチではないけれどずっと炎症を抑え続ける治療が必要な関節炎もあるということを少し知っておいていただけますと幸いです。

2022年12月26日 (月)

日本医療の歴史的大転換?

 あまり気づいている人はいないかもしれませんが、この冬に日本の医療は歴史的大転換を迎えたかもしれません。

 日本の医療制度ではこれまで、政府の誘導したい事柄に対して加算をして医療機関を誘導してきました。今年4月の診療報酬改正でも感染症に対応する医療機関に感染症対応加算を付け、マイナンバーカードを導入した医療機関に電子的保健医療情報活用加算というのを新設しました。これは日本の政治が国民目線ではなく業界団体との政治的折衝によって決まっていく典型例で、関係者からみれば加算なのですが、一般の人から見れば値上げ以外の何物でもありません。 

 長い間疑問に思っていましたが、加算加算していくのも能が無いので当院では今年度は感染症対応加算を取得しないことにしました。マイナンバーカードも導入すると値上げになってしまうので今年4月の導入は見送りました。

 感染症対応加算は行いませんが、もちろん感染症は通常通り診察します。なので、感染症対応加算を取っている医療機関でコロナを診てもらえないからということで感染症対応加算を取っていない当院へ患者さんが流れてくるというおかしな事態になっています。

 加算をしてもマイナンバーカードを導入する医療機関がなかなか増えないので政府や政府を諮問する人達やメディアは医療機関が抵抗しているからだと言いますが、まだ実用的に使い物にならないシステムを導入してお金を取るのが正しいのかどうか、メディアの方々は考えているのでしょうか。今マイナンバーカードを導入しても実際にカードを持っている人が半分、そのうち保険証情報が紐付いている人は数割程度です。もっとも、医療機関がマイナンバーカード導入の手続きをしても順番待ちで導入ができていないのが現状なのですが。そもそも整形外科で本人確認するとしたら、怪我をしていれば本人、怪我もしないで切ったから縫ってほしいという人は本人ではありません。かかりつけの医療機関で保険証情報は確認が必要ですが、本人確認がどの程度必要なのか。

 さて歴史的大転換の話ですが、マイナンバーカードがなかなか普及しないので政府はあせっているのでしょうが、この12月に突然、来年の4月からマイナンバーカードを利用していない医療機関を60円値上げするという大本営発表を行いました。今まで誘導したい方向を加算するとしてきた方法を、誘導したくない方向を値上げするという方法にした訳です。

 メディアも一斉に来年からマイナンバーカードを利用していない医療機関の方が自己負担が高くなりますよと政府の言う通りに報道していますが、加算方式と値上げ方式が混在してしまったらもう訳がわからなくなるのにどう整理するのでしょうか。

 自己負担が安いアピールをした方がよいのであれば、感染症対応もしないほうが自己負担は安いです。在宅専門の医療機関で在宅医療を受けると高額なので、在宅支援診療所の看板は外して往診対応した方が圧倒的に安くなります。かかりつけ機能に対応しない方が機能強化加算が必要なくなります。

 来年度から、「しっかり診療しているので加算はご了承下さい。」というスタンスでいくべきなのか「当院を受診した方が自己負担が少ないですよ。」というスタンスで行くべきなのか。

 多くの患者さんが、加算の有無よりも近所で通いやすいとかしっかり診療しているとかいう基準で医療機関を選択していることでしょう。それなら従来の保険証を使用した方が医療機関の収入的にはやや高くなり、医療機関としてマイナンバーカードを導入する必要はカードが実用的になるまではないということになります。

 日本の医療政策は支離滅裂になっていく一方です。マイナンバーカードは、本来税金や住民票などの公的なものを利用する時にマイナンバーカードがないと手続きできませんという風にすれば取得率100%になっていくことでしょう。というか先に全ての国民にマイナンバーカードを配って100%保険証情報を紐付けてから医療機関での使用を義務づけるべきでしょう。政府もお役所の方々も矢面に立ちたくないから医療機関を人柱にしているのに過ぎません。来年41日にマイナンバーカードの普及率と保険証の紐付け率が100%に至らなかったら全国全ての医療機関は無期限全面ストライキに突入すべきだと思います。

2022年12月10日 (土)

スポーツバーに防護服

 ワールドカップで日本代表が16強に進出し大いに盛り上がりました。8強には進めず残念でしたが強豪国相手に本当によく頑張っていただいたと思います。

 さて日本国内では政府は我々医療関係者に感染拡大防止と医療提供体制の整備を要請しています。本気で医療関係者に感染拡大防止対策をするように言うのであれば、我々医療関係者は完全防護服にN95マスクをしてスポーツバーに突入し「マスクなしで騒ぐな」と怒りの応援妨害を行うべきでした。まあ多くの臨床医は普通の格好をして一緒に盛り上がっているのが現実なのでしょうが。

 感染拡大のリスクが高いのは人が密集した状態で声を上げたり歓談したりすることです。飛沫が飛び交いウイルスが漂う中で呼吸すれば呼吸器系に取り込まれ感染を生じる確率は格段に上がることでしょう。

 マスクの必要性の低い所でこれ見よがしにマスクをし、店舗の入り口で義務のようにアルコール消毒し、手を洗って直ぐに何かに触れたりしていても、感染は減らせないことでしょう。臨床的にはもう感染対策とか限定的にしていき平常化して行く時期なのではないかと思わずには居られません。

 スポーツバーで盛り上がっている様子を盛んに放映するニュース番組で感染対策を呼びかけていますが、いったいどういう思考回路をしているのでしょうか。

 日本の本音と建て前文化もここに極まった感がありますね。

 多くの方がいったい中国はコロナ政策をどうするのだろうかと思っていることでしょうが、その中国が新型コロナ対策の緩和を発表しましたね。もしかすると日本はコロナからの平常化が世界で一番遅れる国になるかもしれません。世界がコロナ後の社会になって世界から日本の対応を批判されてやっと全面解除へと進むことになるような気がします。自分では決められない政府、専門家は世界中がコロナ後になったのを見届けてから日本国内でも世界基準を採用するしかできないように思います。 

 これからコロナとインフルエンザの検査キットを市中で使えるようにし、軽症でも使える高額なコロナ用の薬を緊急承認し、初診からのオンライン診療を推し進めるとのことですが、日本は従来から検査も投薬も受診も入院も多すぎると言われている国です。

 軽い風邪様症状程度では検査しない、軽い症状ではキツい薬は使わない、1錠でポリファーマシーな総合感冒薬など使わない、リスクの低い人は入院や施設療養しない、とにかく検査、投薬、消毒、入院などを日本人は異常にやり過ぎているという自覚を持って減らしていく努力が必要です。

 サッカーでこれだけ盛り上がったのですから、音楽とかお祭りとかイベントで盛り上がってはダメとかもう言えないのではないでしょうか。インフルエンザも流行り出したようです。この冬はいったいどうなっていくのでしょうか。

2022年12月 7日 (水)

不登校・ひきこもりの方への往診

 先日ひきこもり支援者講習会というものに参加してきました。不登校・ひきこもり状態は個人個人によって様々で、全く自室から出られない状態から家の近くのコンビニや図書館などなら外出できる状態、さらには興味のあることなら遠方まで出かけられる状態まで十人十色です。

 ある程度外出できていて、体調不良等の時に医療機関を受診できる状態であればよいのですが、外出できないとか人と会うのが難しいような場合、体調を崩した時に医療機関を受診できず困ることがあるという話が出ていました。特に歯科的に具合が悪い時など受診できず困るようです。

 こういう問題は主に精神科関係と福祉関係、NPOやボランティア関係で対応がなされており、その他の医療関係者にとっては対応方法がよく分からないものです。

 そこで話を聞きながら思ったのですが、当事者でもあり色々勉強したり講習会に出ている自分が困ったときに往診するとしたらいくらかの需要があるかもしれません。もし体調面で困っており外出や一般の医療機関への受診が無理なようでしたら、お声掛けいただければ即日は無理なことが多いですが対応させていただきます。決して外出を即したり向精神薬を無理に勧めたりはしません。あくまで体調面などで困っている事柄に対応して診察や処方等可能です。本人が会いたくなければご両親のみの対応でも大丈夫です.もし女性の方が困っており往診希望なようでした女医の往診も可能です。

 何事も無理に話を進めるのは難しいと思いますので、当事者本人の希望を無視して無理に往診を入れたりはしない方がよいと思います。そこはよく相談の上、外出受診より往診がよい場合ご相談ください。

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