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2023年9月27日 (水)

薬や検査キットの供給不足と日本の医療の特殊性

 現在、様々な薬が供給不足に陥っています。コロナやインフルエンザの長期蔓延、ジェネリック医薬品の工場での不正問題、AMR対策や鎮痛剤の使用方法の修正など様々な要因があり短期での解消は望めない状況になっています。

 咳止めや鎮痰剤、胃薬、抗生剤やアセトアミノフェンなど様々な薬剤が入荷予定不詳となっており処方したくても処方できない薬品もある事態となっています。これから冬になりインフルエンザや普通の風邪なども流行する時期に風邪薬やアセトアミノフェンが欠品になったらどうなるのでしょうか。

 鎮痛剤についても、最近は胃や腎臓に副作用のある消炎鎮痛剤よりアセトアミノフェンを選択する傾向が強まっておりアセトアミノフェンの需要は増大していますが、現状しばらくは消炎鎮痛剤中心の処方にならざるを得ない状態です。

 それにしてもこれほど長期に薬剤の供給が滞るというのは、何か裏に政治的意図があるのではないかと疑いたくなるくらいです。昔からある安価な薬を供給せずに高価な新薬への移行を促しているのかもしれません。市販薬への移行を促進しているのかもしれません。まあ全て単なる邪推ですが。

 コロナやインフルエンザの検査キットも納入見込みが立たなくなっています。今年は9月からインフルエンザが流行しており、同時検査が必要な方が多く、両方一緒に検査出来るキットが特に不足しています。

 現状コロナも軽症な方が多く、リスクの低い方は症状が軽ければ検査しないという選択枝を増やすしかないように思います。

 これを機会に、日本人の薬の使い方や検査の仕方について考え直すとよいかもしれないなと思います。特にコロナが流行してから、すぐに検査、投薬するということが以前よりさらに当たり前になってしまいました。

 感冒やインフルエンザ、最近のコロナもそうですが、軽症の場合は検査も薬もほぼいらないかもしれません。私もコロナになりましたがほぼ水分補給と寝倒して回復を待ちました。ある程度の高熱でも症状としてそれほどひどくなければ薬は使わなくてもよいものです。辛い時に頓服で解熱剤を使うくらいの感覚でいたほうがよいと思います。医療側も、頻回に受診する必要がないようにやや余分に処方したくなるものですが、控えなければならないものと思います。

インフルエンザの治療薬であるタミフルも、世界的に見て日本は使用量が飛び抜けて多いと言われています。本当に内服が必要な方がどのくらい居るのか。よくよく考える必要があります。

 検査も、日本では少しでも疑ったら検査する風潮があります。CTMRIの台数も日本は世界的に見て非常に多いと言われています。最近は早期診断早期治療のために本当に気軽にCTMRIを行うようになっていますが、本来は対象を絞って行うべき検査です。

 日本は国民皆保険で自己負担がまだ軽いので、検査や投薬に対する考え方が安易になっているように思います。本当は診療報酬も処方せん料や検査料を別にしないで診察料に含有すれば不必要な処方や検査は減るように思いますが、そこはタブーなのかもしれませんね。

 検査をいろいろしてくれる、様々な種類の薬をくれる、ということをよい医療機関とする感覚は昭和時代に置いてきていただけますと幸いです。

2023年9月13日 (水)

体にできた湿疹に対しての市販薬の使い方

体にかゆいあかい発疹ができたときどのように対処しているでしょうか。

クリニックにかかれれば間違いないのですが、時間があわなくてかかれないときはどのようにしますか?

顔、陰部以外の湿疹であれば本当はステロイド外用薬を選んでいただきたいと思います。非ステロイドの外用薬はじつはかぶれが多く、かえって悪化することがあります。市販で売られている混じりけのないステロイド外用薬にはリンデロンV軟膏、フルコート軟膏、リビメックス軟膏などがあります。かるい湿疹で1週間以内に完全になおり、しばらくでてこないならこれもありかもしれません。

しかし注意があります。1週間以上なおらない。一回よくなってもすぐに再発する、かえって悪化するなどのことがあればやはりクリニックにかかるほうが結局早いと思います。

治らない理由として、第一に湿疹が慢性化しており、市販薬では弱すぎ、かつ塗り方もわるいことが考えられます。第二に、とびひ、水虫(体にもでることがあります)などの皮膚感染症である可能性があります。この場合どんどん悪化していきます。第三にそもそも湿疹ではなく前がん状態であることもまれですがあります。

虫刺されも上にあげた軟膏で治る場合はいいのですが、水疱ができたり、3センチ以上に赤くはれたりする場合は弱いステロイドで中途半端に直した場合数か月もかゆい痒疹(かゆい硬いできもの)になったりするため、早期に強いステロイド外用にした方が何か月も苦しまずに済むこともあります。1,2週間でしっかりなおらなかったら受診をおすすめします。

 

2023年9月 5日 (火)

橈骨近位端骨折

 手をついて転んだ時などに、手首ではなく肘を痛めることがあります。すごく腫れたり激痛を生じている場合は上腕骨骨折や肘頭骨折、脱臼等を疑いますが、ほとんど腫れていないのに動かすと痛いなどといった場合、肘の外側の痛みでは橈骨近位端骨折等を疑います。子供の場合は骨端線(成長線)があり、その部位での骨傷のことも少なくありません。因みに肘の内側の痛みが続いている場合は側副靱帯損傷などのことが多い印象です。

 橈骨近位端骨折で変位が軽い場合、安静時痛はあまりなく、ほとんど腫れないため、受傷からしばらく経ってから受診される方も少なくありません。肘が伸びない、ドアノブなどを捻ると痛い、何となく痛みが引かないというような症状で受診されます。

 通常の肘のレントゲンでは分からないこともあり、角度を変えてレントゲンを行ったり、場合によってはCTMRIで診断することもありますが、レントゲンで変位がよく分からない位であれば手術に至ることは稀なので、高額なCTMRIの必要性は低いかと思います。

 変位が大きいと手術的な固定が必要であったり、中には骨頭置換術など少し特殊な手術になることもあります。ただ、変位が大きければ最初から痛みが強く肘が動かせないことが多く、受診が遅くなることも少ないと思います。

 変位が軽くても、そのまま動かしていると早期にはズレてしまう可能性もあり診断後はシーネ(副木)などで固定します。受傷後既に数週以上経過していて、変位もわずかの場合は無理しないようにしてそのまま骨癒合を待つのでも大丈夫な場合もあります。基本骨折している場合は骨癒合まで23ヶ月は肘関節は無理しないようにするとよいです。肘関節の可動域制限等を生じている場合は機能訓練を行うこともあります。

 手をついてから前腕の痛みが続いているということで来院されてこの骨折を診断した際には、骨折とは思わなかったという方が多いです。子供の場合は、ご両親が「本当に痛いの?」と不審がることもありますが、骨折している可能性についても考慮した方がよいかもしれません。

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