薬や検査キットの供給不足と日本の医療の特殊性
現在、様々な薬が供給不足に陥っています。コロナやインフルエンザの長期蔓延、ジェネリック医薬品の工場での不正問題、AMR対策や鎮痛剤の使用方法の修正など様々な要因があり短期での解消は望めない状況になっています。
咳止めや鎮痰剤、胃薬、抗生剤やアセトアミノフェンなど様々な薬剤が入荷予定不詳となっており処方したくても処方できない薬品もある事態となっています。これから冬になりインフルエンザや普通の風邪なども流行する時期に風邪薬やアセトアミノフェンが欠品になったらどうなるのでしょうか。
鎮痛剤についても、最近は胃や腎臓に副作用のある消炎鎮痛剤よりアセトアミノフェンを選択する傾向が強まっておりアセトアミノフェンの需要は増大していますが、現状しばらくは消炎鎮痛剤中心の処方にならざるを得ない状態です。
それにしてもこれほど長期に薬剤の供給が滞るというのは、何か裏に政治的意図があるのではないかと疑いたくなるくらいです。昔からある安価な薬を供給せずに高価な新薬への移行を促しているのかもしれません。市販薬への移行を促進しているのかもしれません。まあ全て単なる邪推ですが。
コロナやインフルエンザの検査キットも納入見込みが立たなくなっています。今年は9月からインフルエンザが流行しており、同時検査が必要な方が多く、両方一緒に検査出来るキットが特に不足しています。
現状コロナも軽症な方が多く、リスクの低い方は症状が軽ければ検査しないという選択枝を増やすしかないように思います。
これを機会に、日本人の薬の使い方や検査の仕方について考え直すとよいかもしれないなと思います。特にコロナが流行してから、すぐに検査、投薬するということが以前よりさらに当たり前になってしまいました。
感冒やインフルエンザ、最近のコロナもそうですが、軽症の場合は検査も薬もほぼいらないかもしれません。私もコロナになりましたがほぼ水分補給と寝倒して回復を待ちました。ある程度の高熱でも症状としてそれほどひどくなければ薬は使わなくてもよいものです。辛い時に頓服で解熱剤を使うくらいの感覚でいたほうがよいと思います。医療側も、頻回に受診する必要がないようにやや余分に処方したくなるものですが、控えなければならないものと思います。
インフルエンザの治療薬であるタミフルも、世界的に見て日本は使用量が飛び抜けて多いと言われています。本当に内服が必要な方がどのくらい居るのか。よくよく考える必要があります。
検査も、日本では少しでも疑ったら検査する風潮があります。CTやMRIの台数も日本は世界的に見て非常に多いと言われています。最近は早期診断早期治療のために本当に気軽にCTやMRIを行うようになっていますが、本来は対象を絞って行うべき検査です。
日本は国民皆保険で自己負担がまだ軽いので、検査や投薬に対する考え方が安易になっているように思います。本当は診療報酬も処方せん料や検査料を別にしないで診察料に含有すれば不必要な処方や検査は減るように思いますが、そこはタブーなのかもしれませんね。
検査をいろいろしてくれる、様々な種類の薬をくれる、ということをよい医療機関とする感覚は昭和時代に置いてきていただけますと幸いです。
« 体にできた湿疹に対しての市販薬の使い方 | トップページ | なんとなく痛い »
コメント