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心と体

2017年10月28日 (土)

アメリカのオピオイド問題と賢明な日本

 なにやらトランプさんがアメリカでのオピオイド関連死亡を中国のせいにしていますね。オピオイド系の鎮痛剤というのは要するに麻薬系鎮痛剤のことですが、以前からアメリカでは麻薬系の鎮痛剤が乱用されてきました。アメリカでは手術後の痛みではもちろん、抜歯の時の痛みでも変形性膝関節症等の一般的な痛みに対しても安易に麻薬系の鎮痛剤が使われてきました。
 確かに麻薬系の鎮痛剤はあらゆる場面でよく効きます。脳の痛みを感じる部分をブロックしてしまう訳ですから、多くの痛みについて効くのは当然です。ここに、EBMという魔法をかけてしまうと、様々な疾患に適応承認が得られます。
 日本でも、今では腰痛や膝関節痛に麻薬系鎮痛剤を使うことが可能です。製薬会社が強力に国や医学会に働きかけて、適応を拡大してきました。我々専門医も、専門医を維持するための講演会で名医と言われる先生が「日本では麻薬系鎮痛剤の使用が少なすぎます。もっと使いましょう。」という話を嫌というほど聞かされています。
 確かにEBMによる治療をしている以上、効果が確実な薬剤ではあります。しかし、日本人の感覚としてオピオイドは極力使ってはいけない薬だと多くの臨床医は思っています。なのでもちろん日本でも必要最小限には使用しますが、なかなかアメリカのようにオピオイドが広まらないのが現状だと思います。1990年代頃から広まったEBM(根拠に基づいた医療)というものは、正論ではあるのですが鵜呑みにしてしまうとおかしなことになってしまいます。ポリファーマシーなども根本には専門医がEBMに従うと様々な薬を出さざるを得ない状況に陥るのが問題なのではないかと思います。EBMを基本に、それをうまく解釈できるかどうかが専門医と臨床医の違いなのかもしれません。
 アメリカ人がオピオイドの中毒になったり過量摂取で死亡したりする原因を中国のせいにするのはお門違いだと思います。どこの工場で作っているかではなく、どこの会社の製品を誰が処方しているのかを考えてみた方がよいと思います。アメリカ人の多くがオピオイドを通販で中国から自己購入している訳ではなく、医療機関で処方されているのでしょうから。

2017年10月20日 (金)

世界骨粗鬆症デー

 10/20は世界骨粗鬆症デーです。骨粗鬆症という病気をご存知の方は多いと思いますが、実際に治療されている割合は高血圧や脂質異常症と比べてまだまだ少ないと思います。
 データとしては、50歳以上の人が生涯骨折する確率は男性で1/5、女性では1/3と言われています。足の付け根である大腿骨近位を骨折すると、その後1年以内の死亡率は20%程度と言われています。つまり大腿骨近位の骨折の予後は癌の予後より悪い場合があるということです。また、足の付け根の骨折をすると、骨折後元の通りに歩けるようになる方は半分に満たないということが分かっています。
 自立した老後を維持し健康寿命を延ばすという点で言うと、骨粗鬆症の予防と治療は非常に重要だと思います。検診や健康フェアーで踵の骨強度等を測定して医療機関での精密検査を勧められたという方が時々来院されますが、手や踵での測定と腰椎・大腿骨での測定は結果が異なることも少なくないので注意が必要です。体幹部の骨粗鬆症と四肢の骨粗鬆症はややタイプが異なるのかな?と思うこともありますが、両方を検査してみるのが本当はよいのかもしれません。
 骨粗鬆症の方の慢性的な腰痛が、骨粗鬆症の治療を続けていると軽減することがあります。ただ、圧迫骨折を繰り返して腰が曲がってしまうとなかなか症状を取ることは難しいのが実情です。
 骨粗鬆症の治療は長期に薬を内服したり定期的に注射したりする必要があります。そこが嫌な方も少なくないと思いますが、診療所でもなるべく長期処方をしたりして負担が少なくなるように配慮していますので血圧の薬と同じくらい治療を継続すべき疾患のひとつだという認識になっていただけるとよいなと思います。

2017年10月16日 (月)

BMI27が最適と言われても

 先日フレイルについての講演会に行ってきました。フレイルというのは、もろさ、脆弱などを意味するfrailtyから作られた日本語の造語ですが、簡単に言うと、病気ではないまでも体力、気力、栄養状態等が低下している状態です。主に高齢者に用いられる言葉ですが、今までのようにとにもかくにも長く生きるということではなく健康寿命を重視しようということで生まれてきた言葉です。身体的なフレイル、心理的なフレイル、口腔機能のフレイル等さまざまな面から弱くなってくることを早めに気づき、運動をするとか栄養をしっかり摂るとか社会参加するとか自助努力をしていただきなるべく医療や介護に頼ることなく元気でいようという啓蒙活動です。
 最近の研究では、太り過ぎのみではなく痩せすぎもよくないということが分かっており、特に高齢になってからは栄養状態や筋肉を維持するためにも体重を維持した方がよいということになってきています。65歳以上に限定すると、BMI=27が最も平均余命が長いと話されていました。BMI27といったら日本人としてはかなり肥満に見えると思います。整形外科医としては、腰や膝は悪くてあまり歩けないけど元気に暮らしている方をイメージしてしまうのですが、何か寝たきりは防止できても座りきりになってしまうような感じがしないでもありません。
 中年期までは生活習慣病防止のために肥満を防止しましょうということには変わりありませんが、高齢になって目標BMIが違うというのもおかしな感じがします。BMIの高い方がそれを下げることが難しいように、BMIの低い方がそれを上げるのも難しいです。BMI27は実際としては日本人には高すぎると思いますが、BMIが20未満の方はなるべく健康的に増やす努力をした方がよいかもしれません。

2017年10月13日 (金)

ALSの早期

 ALS(筋萎縮性側索硬化症)という病気のことを聞いたことがあるかもしれません。この病気では運動神経ニューロンというところが障害され、基本的に体を動かす筋肉が動かなくなってしまいます。感覚の神経は保たれるのが特徴と言われています。
 進行すると全身の運動神経が障害されますが、徐々に進行するため早期には体の一部が動かしづらいという症状から始まります。
 大きく分けると、手足の一部が動かしづらかったり痙るような症状だったりする場合と、飲み込みづらいとか話しづらいなど喉周囲の症状から始まる場合があります。
 手足の一部が動かしづらい症状から始まった場合、最初に受診するのが整形外科である場合も少なくありません。中高年の方が手足の運動障害で来院された場合、どうしても頻度的に脊椎疾患と診断されやすいと思います。感覚障害がないことはヒントになりますが、脊柱管狭窄症でも感覚障害がほとんどない方もいますので超早期からALSと診断することは非常に困難です。特に脊椎のレントゲンやMRI検査で実際に狭窄が強い方の場合は狭窄症とALS早期の合併かALS単独の症状だったのかははっきりせず、狭窄症の手術を受けて改善しないことからALSの診断に至ることもあります。
 もしALSの早期であったとしたら、動かしづらさや筋力低下が徐々に進行します。筋肉が痩せてきたら早めに医師にも伝えるようにしていただけますと幸いです。特に、肩甲骨や肩関節周囲の筋肉の痩せは、洋服を脱いでみないと分かりませんので通常の頚椎の診察ですと気づかない恐れがあります。脊椎疾患でも筋肉が痩せる場合もあるため、それだけで診断できる訳でもありません。
 昔、交通事故の患者さんの初診時診察で男性でも女性でもパンツ1枚にして全身に外傷がないか確認していた上司がいました。本当にしっかり全身を診察しようとするとそれが一番確実なのでしょうが、今は胸部の聴診でも肌着の上からする時代なので、どの患者さんも裸で診察するというのは現実的ではありません。
 ALSの疑いがある場合は、神経内科の専門医への紹介が必要です。筋電図検査などを行い確定診断を得ることになります。
 最近高齢化のためか、神経疾患を診断する機会も増えてきたような印象があります。神経疾患はまず疑いを持つことが大切です。さらに詳細な深い診察をして早期診断ができるかどうかです。神経内科へ紹介しても早期ですと意見が分かれる場合もあります。早期診断が難しいことは理解していただき、心配や気づいた症状・所見があれば積極的に話していただくとよいなと思います。

2017年10月11日 (水)

トミージョン手術

 先週末は連休でしたが、日本肩関節学会に参加してきました。肩関節学会とは言っても、肘の話の方を中心に聴いてきましたが…。スポーツでの肘関節障害というと、内側側副靭帯損傷に対するトミージョン手術が有名ではないかなと思います。アメリカの専門医が来日して講演されていたので聴いてみました。
 アメリカのメジャーリーグでは、26%もの投手が肘の手術を受けているそうです。4人に1人は手術を受ける計算で、最近だとダルビッシュなど日本からメジャーに行った選手もかなりの確率で受けていますね。やはり復帰には1〜2年かかるとのことでダルビッシュが現在活躍できており本当によかったと思います。成績は比較的安定しており、投手で肘の内側に障害がある場合はやはり推奨される手術です。ひとつ、肘の障害後の復帰プログラムについて、遠投は初速がかなり上がり肘への負担は全力ピッチングと変わらなくなるので早期から遠投をするのは勧めないと話していました。
 テニスでの肩の障害は腱板損傷、SLAP、後方障害などについての講演がありました。なかなかすぐに治る疾患ではないのですが、手術適応も未だに議論があるところです。リハビリなどの保存療法で改善が乏しい場合は手術の適否についても検討が必要かと思います。
 少年野球の野球肘について外側の離断性骨軟骨炎については膝の軟骨柱を移植する手術の講演を聞きましたが、いろいろ工夫されて成績はかなり安定しているようでした。ただ、やはりできれば早期に診断して保存的に経過観察すればかなりの確率で手術は避けられる訳で、少年野球選手が肘に疼痛や可動域制限を生じた場合は我慢せずに医療機関での診断が必要です。
 肩や肘の障害では、我慢して我慢して診断や治療が後手後手に回るとしっかり治せなくなってしまうこともあり、早期からしっかり診断し休むべき時にはしっかり休む、治療は科学的医学的に治る確率の高い方法を選択するという理性的な対応が大切ではないかと思います。

2017年10月 7日 (土)

パンコースト腫瘍

 肩こりと言うと医学的には肩の疾患より頚椎から肩甲帯の疾患を考えますが、特に上肢や手指にしびれや放散痛を伴っている場合、整形外科的には頚椎疾患を一番に考えます。年齢的に頚椎がすり減っていたり変形していると、頚椎症性神経根症や頚椎椎間板ヘルニアなどの可能性が最も高いです。その他の可能性としては、胸郭出口症候群や末梢神経疾患、上肢動脈疾患などの鑑別が必要です。
 頚椎のレントゲンを見る時に、整形外科医がまず最初に見る部位というのは頚椎自体ではなく肺尖部と呼ばれる肺の上端です(「そんなことねーよ」と同業者には言われそうですが)。ごく稀に、肺尖部に腫瘍があって上肢へしびれや痛みを生じていることがあります。このような腫瘍をパンコースト腫瘍と言います。もちろん上肢の症状があれば鑑別診断の一つに挙がるのですが、頻度は稀で、早期診断をするのは非常に難しいと思います。
 早期ですと頚椎のレントゲンでは見えないことも少なくありません。頚椎疾患を中心に考えている場合は次に頚椎のMRIを行いますが、頚椎MRIでも撮像範囲に入っていないこともあります。
咳や痰、息切れなどの症状があれば診断に近づきますが、パンコースト腫瘍の場合は内科的な症状は出ないことも少なくありません。
 診断に至る過程としては、徐々に上肢の症状が増悪する場合、夜間痛など安静時痛もある、上胸部や肩甲骨方向へ疼痛範囲が広がる、体重減少や体調不良なども生じてくる、頚椎の所見と神経のレベルが合わないなど、頚椎の疾患にしては非典型的になってきて、頚椎レントゲンを間隔をあけて撮り直すか、胸部レントゲンやCTを追加するかなどして発見されるというようになることが多いです。整形外科で診断できる前に検診の胸部レントゲンで発見されるという場合もあり、この場合見落としではないかと思われるとは思いますが、早期に診断できた場合の方が奇跡に近いと思います。
 腫瘍性疾患の症状の特徴としては、しびれや痛みが一時的に軽快するようなことなく徐々に増悪していくことが多いです。上肢のしびれや肩こりなどが徐々に増悪する場合、頚部や腋窩も含めて腫瘍による症状のことも考慮する必要があります。

2017年10月 5日 (木)

運動後横紋筋融解症

 横紋筋融解というと、震災の時に建物等の下敷きになった方に生じるクラッシュ症候群や、コレステロールを下げる薬などの副作用として報告されている薬剤性の横紋筋融解症が思い浮かびます。その他にも熱中症で深部体温が過剰に上昇すると生じることがあります。
 横紋筋融解症とは、上記のような状態で筋肉自体が障害され、カリウムなどの電解質やミオグロビンという筋肉の成分が大量に血液中に流入することで心臓の障害や腎臓の障害を引き起こし致命的となることもある疾患です。
 上記の様な明らかな非常事態が原因ではなく、ふつうの運動後に横紋筋融解を生じることも稀にあります。高い負荷での筋肉トレーニングを行った場合などに、筋肉が一気に障害されて横紋筋融解が起きることもあります。運動後筋肉痛になるのは普通のことですが、異様に筋肉痛が強かったり持続したり、夜痛くて眠れない等ふつうでない経過の場合には一応横紋筋融解の可能性も頭に置いた方がよいかもしれません。尿が血尿の様に赤くなるのが典型的で、これはミオグロビンが尿中に含まれているためでポートワイン尿とも呼ばれます。
 診断としては、血液検査で筋肉が痛むと上昇するCKという項目を測定したり、尿検査でミオグロビンを測定したりします。当院の院内検査では残念ながらCK,ミオグロビンは行えませんが、カリウムや腎機能、LDH、尿検査などで評価を行うことは可能です。筋肉の超音波所見は、肉ばなれや筋挫傷の所見とは異なり、全体的に筋肉は腫れて筋線維が不整になっているように見えます。
 いったん横紋筋融解症が起こったら、とにかく至急全身状態のチェックと管理を行うことが大切です。特にミオグロビン尿が増悪すると腎不全を起こしてしまうため、場合によっては透析を行うこともあります。脱水にならないよう注意して、検査結果によっては点滴を行う必要もあります。
 運動後はとりあえず脱水にはならないように注意した方がよいと思います。筋肉痛が通常とは違い眠れないとか、尿が赤いということがあったら緊急でもよいので早めに医療機関を受診した方がよいかもしれません。

2017年9月 1日 (金)

炎症反応のない炎症

 検査結果に対する医師の反応を見ると、その医師の経験値や技量が少し類推できるかもしれません。
 経験が浅く非典型例にあまり遭遇していないうちは、検査結果を覆すのはなかなか難しいものです。なので検査をして特に問題がないと、「異常ないです。」と説明してしまいがちです。いろいろな症例を経験すると、レントゲンでは正常な骨折とか検査では問題ない病気などが少なくないことが実感として分かります。なので検査値で異常がなくても、「検査では異常ないですが、〜〜の疾患を完全には否定できません。」などと説明することも少なくありません。断定した方が名医っぽいですが、ドラマのように断定する医師は基本信用できません。
 関節炎や腱鞘炎などで、血液検査では炎症反応が正常ということが時々あります。この場合、どういう経過なのか、他に関連のある所見はないか、患部の所見がどうなのかということをいろいろ検討して診断する必要があります。特に触診で腫れているかどうか、水腫のフヨフヨした感じなのか滑膜炎のブニュッとした感じなのか、外傷などの腫れ具合なのか、とにかく見て触れて患部がどうなっているのかを確認しないと、検査結果のみでは騙されることが少なくありません。
 触診の補助診断として最近大変役に立つのはやはり超音波検査だと思います。採血結果で陰性でも超音波検査では燃えるように腫れていることもあります。もう超音波検査機器がない診察室で診察することは想像できないくらい重宝しています。
 関節リウマチの治療中では、薬によって検査結果が陰性化していると大丈夫と言われることも少なくありませんが、実は関節の腫脹が治っていないということも時々あります。血液検査で炎症反応がなくても触れてみると腫れているということも少なくありません。手指の関節には見た目にも腫脹がなく、足の指の関節の腫脹のみですと検査結果が正常だとそのまま見過ごされ続けることも否定できません。検査結果が大丈夫でも抗リウマチ剤の増量が必要という場合もあります。
 検査というのはあくまで診断の補助だということは理解していただいた方がよいと思います。健診結果も、あくまで健診時に異常所見を見い出せないということかもしれません。医師は視診や触診以外にも匂いや雰囲気など五感をフル回転して診察しています。整形外科ですとさらには実際に動いていただいたり、動かしてみないと分からないこともあります。初診以降の経過をみないと分からないこともあります。検査で問題なくても、症状が完全になくならなかったり何かおかしいというようなことがあれば、積極的に話していただいた方が的確な診断に近づけます。
 医師の診察はまだまだAIで代用できないと思いますが、未来の世界では全身スキャンなど検査だけで即座に診断できる時代が来るのでしょうか。

2017年8月10日 (木)

低尿酸血症と急性腎不全

 尿酸値が高いと痛風を起こすことがあるのは有名ですが、尿酸値が低いことにはあまり関心がないものです。尿酸値が低くて困ることがあるのかというと、それがあるのです。
 尿酸値が常に2以下の方は、代謝障害で尿酸が排出されすぎている可能性があります。尿酸というのは体に必要ないものかというと、そんなことはありません。尿酸は非常に抗酸化作用の強い物質で、体に不必要な物質という訳ではありません。
 尿酸が低くても通常はあまり支障ありませんが、運動後の急性腎不全を起こすことがあるということを知っていた方がよいかもしれません。運動後の急性腎不全というと横紋筋融解のよるミオグロビン尿症に伴う急性腎不全が有名ですが、低尿酸血症に伴い、運動後に急性腎不全を生じることがあることが報告されています。
 運動後の急性腎不全で横紋筋融解によるものは、マラソンなどの長時間、負荷の強いスポーツや活動で生じやすいのに比べて、低尿酸血症によるものは短時間の短距離走やサッカーなどで生じやすいということです。
 低尿酸血症による急性腎不全の場合、運動から数時間から半日で発症することが多いようですが、翌日に発症した例もあり注意が必要です。整形外科的には、腰背部に激痛を生じることがあり、運動翌日に腰背部痛を生じて来院された場合診断できるかどうかこの疾患が頭に入っていないと難しいと思います。嘔吐を伴うことも多いため通常の腰痛とはかなり印象が異なり、救急を受診されることが多いとは思いますが。
 この疾患は比較的若い方に生じることも多く、若いと検診を受けていない場合が多く、いつも尿酸が低いかどうかは分からないので一層診断が難しいかもしれません。
 運動後の急性腎不全の要因として、運動前の消炎鎮痛剤の服用もリスクとして報告されていますのでこれも注意が必要です。
 尿酸というと高いことばかりを気にする傾向がありますが、検診のたびに極端に低い場合は専門医へ紹介する必要があるかもしれません。

2017年8月 2日 (水)

最近の鎮痛剤の副作用事情

 痛み止めの副作用というと、多くの方が「胃が痛くなる。」と思っているように思います。少し前までなら大体正しい理解だったと思いますが、最近は痛み止めの種類も使い方も大きく変わってきています。胃が痛くなるのは、基本的に消炎鎮痛剤の系統です。消炎鎮痛剤では胃潰瘍や十二指腸潰瘍、さらには小腸なども痛めることがあり注意が必要です。昔は他に鎮痛剤がほとんどなく、どんな疾患でも効果を期待して処方されてきました。しかし、実際は炎症を抑えるのが主な作用な訳で、炎症を伴わないような疾患には効かないので使用する割合は減ってきています。とは言っても、外傷でも変性疾患でもある程度の炎症は伴うことが多く、発症当初などにはよく使っていますが。

 最近の鎮痛剤による副作用として注意が必要な症状では、ひとつにはふらつきやだるさなどが重要かと思います。消炎鎮痛剤でも眠気を生じることがありますが、神経痛用の鎮痛剤や中枢性の鎮痛剤では神経に作用するからかふらつきやだるさが起こることが少なくありません。さらに高齢者では食欲不振、転倒なども生じることがあります。神経痛に対する鎮痛剤や中枢性の鎮痛剤などでは少量から開始したり、1日1回程度から様子をみながら増量するようにすることが多いです。

 浮腫みという副作用もあります。昔から消炎鎮痛剤で浮腫む方もいましたが、神経痛用の薬でも浮腫むことがあります。足が浮腫んだり、中には顔や瞼が浮腫んでくる方もいます。浮腫むような感じがしたら、とりあえず鎮痛剤は中止して早めに受診して相談していただいた方が安全です。

 鎮痛剤で薬疹を起こすことももちろんあります。薬疹は蕁麻疹のような目立つ症状ですとはっきりしますが、所々軽い皮疹を生じている場合には薬との関連が微妙なこともあります。薬疹が否定できない場合はやはり薬を休止して収まるかどうか経過観察が必要です。薬疹というのは、皮膚科と一緒に診察していると鎮痛剤に限らず、血圧の薬など非常に多くの方が内服している薬でも結構少なくないんだなと実感する副作用です。皮膚科医と一緒に診察していないと気付かない薬疹というのが実は世の中にはたくさんあるのではないかと思います。

 症状として出にくい副作用としては検査値異常もあります。肝機能障害や腎機能障害は早期には症状は出にくいため、健診を受けるか時々採血や尿検査等でチェックする必要があります。

 鎮痛剤の種類が増えるにしたがって、副作用の種類や様子も多様になっています。鎮痛剤は使わないに越したことはないので、我慢できる方や外用でよいという方には内服はなるべく使わないようにはしています。ただ、疼痛も慢性化するとさらに複雑化、固定化してしまうこともあります。整形外科を受診する方のほとんどが痛みを何とかしてほしいということで来院される訳で、もっとも適した使い方というものを日々工夫しながら使用しているのが現状です。

 どんな薬でも作用と副作用があります。「だるい」とか「何か変」というように表現しにくい副作用もあります。何かおかしいなと思ったらすぐにそのまま言ってください。

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