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日記・コラム・つぶやき

2023年6月 6日 (火)

便利な社会と運動機能

 昨今はICT技術や宅配サービスなどが急速に進歩しており、様々なことが家から出なくてもできますね。

 高齢な方々は、買い物に行かずに宅配で食材を調達するようになってきています。調理済みの料理を宅配してもらうこともコロナ禍でさらに増えたように思います。

 社会人もリモートワークが浸透し、ずっと家で仕事をしている方々が少なくない世の中になっています。

 日頃運動器疾患を診察している人間としては、社会が便利になっていくメリットと、人々の運動機能が低下していくデメリットと両面を観察している日々です。

 日々リモートワークをしていれば当然運動不足になることでしょう。当地から都心に通勤していると、行き帰りで2時間以上立っていたり歩いたりしてかなり日々の運動になっているものと思います。大きいビルの中で働いていても街の中で働いていても、総移動距離はなかなかの距離になるでしょう。リモートワーク中、毎日通勤時と同じくらいの運動量を維持できるでしょうか。

 運動機能の低下が高度になっている高齢な方が宅配をうまく使うことは自宅での生活を維持する上で重要になっているものと思います。一方、フレイルと呼ばれる運動機能低下早期の方々が宅配を使いすぎることは運動機能低下に拍車を掛けることになるでしょう。なるべく台所仕事や掃除などの家事をしたり、杖や手押し車やシニアカーのような物を使ってせめて近所のスーパーまで買い物に行くなど努力をした方が日常生活動作維持には理にかなっているようにも思います。

 早めに介護保険を申請して、ヘルパーさんに掃除をしてもらったり送迎で介護予防リハビリに行くことも、良い面と余計運動機能を低下させてしまう恐れと両面を鑑みる必要があるように思います。中には送迎で介護施設に行く以外は自分では外出しないという高齢な方も時々います。介護度が進んでいる方は仕方がないと思いますが、まだ外出できるだろうにと思う方もかなりいます。最近は町トレなど参加型のサービスもありますので、送迎ではなく自分の足で参加してみる努力も必要かもしれません。

 リモートワークや料理の宅配サービスが最先端のような雰囲気ですが、コロナ禍でも普通に出勤し、多くの方々と直接接してきた人間としてはやはりできれば出勤し、食事も足を運んで食べに行きたいなと思います。もうこれは昭和の人間の発想なのでしょうが。運動面だけではなく心理面などでも、人との直接の接触が限定された状態が続くことはどうなのだろうかと思います。

 将来には自宅からメタバースで出社して外出体験や世界中へ旅をして自宅で有名料理店のおいしい料理を食べる時代になるのかもしれません。もうメタボフレイルまっしぐらな気がしますが。 

 便利な世の中ですが、メリットを最大化するためには意識的に不便を取り入れる必要があるのかもしれません。

2023年5月15日 (月)

祭事とフェス

 今週は整形外科学会とプライマリケア学会に参加してきました。学会としての様相が全く正反対で面白いですが、複雑な感情が沸いてきます。

 整形外科学会は皆スーツを着て学識団体としての格式を継承しており、叱られるかもしれませんが明治時代から続く祭事のような印象です。一方プライマリケア学会は大きな展示場をパーディションで区分けしただけの会場で、同じ空間の中で音楽が鳴り響く中ディスカッションをしていてまるでフェスのようでした。これも叱られるかもしれませんが、公立学校の教職員組合の会合を会議室で折りたたみ机を四角く置いてパイプ椅子を並べて行っているのと、IT企業で人工芝のフリースペースに集まってランチを食べたりヨガをしながらフリートークしているのと、位の違いでしょうか。

 この専門医志向とプライマリケア志向の向いている方向の違いも日本の医療の大きな問題の一つなのかもしれません。両者は様々な観点で別の方向を向いているように思います。それがうまく噛み合っていく必要があるのでしょうね。

2023年5月 7日 (日)

5月8日以降は

 58日以降、新型コロナ感染症は5類相当という分類に変更されます。これはインフルエンザと同等という評価で、感染対策は緩和されることになります。ただし、9月までは徐々に緩和するような措置が取られており、すぐに全面的に平常化する訳ではありません。

 当面、感染し発症した方は発症後5日は自宅療養が推奨されますが、気をつけて外出するのは禁止されません。ご家族は行動制限されず、濃厚接触者の検索などもされません。これまでは新型コロナウイルス感染症に関する受診や検査等は無料でしたが、今後は保険診療となるため自己負担が発生します。新型コロナウイルスの薬は無料のままですが、通常使用する必要性は低いものと思われます。

 当院では玄関を入ってすぐの体温測定は5/6までで終了しました。発熱等の方で新型コロナウイルス感染症の検査キットをされ、陽性で受診や処方を希望される方は電話でご連絡いただき隔離診察室で診察いたします。発熱等で受診され、コロナ陽性と診断された場合などは隔離室での診察や待機が必要です。この様に感染症対策で別室での診療を行った場合、感染対応の加算が生じますがご了承いただきますようよろしくお願いいたします。

 医療機関内では当面マスクが推奨されますが、ご本人が心配されていない場合マスクしなくてもよいことになります。ただ、医療機関には免疫力の低い方が多く来院されているため、当面配慮するとなるとマスク着用が妥当なのかもしれません。咳をしている方はマスク必須かなと思います。周囲の方々の理解がどこまで進むか心配ではありトラブルにならないとよいなと思います。医療機関のスタッフも、平常化していくのであれば徐々にマスクは外していくべきかと思います。医療機関のスタッフがマスクをしていなくても気にしないようにしていただければと思います。

 当面いろいろな問題が生じてくるかもしれませんが、日本は個々人の判断に任せる面が多いようなので他の人の判断を尊重してあまり目くじらを立てないようにしていただけるとよいのかなと思います。

2023年4月16日 (日)

全ての痛み止めが飲めないという場合

 整形外科をしていると、体のどこかが痛い人と毎日数十人お会いします。骨折していたりぎっくり腰だったり膝痛だったり痛風だったりその他様々な痛い方にお会いします。なのでどうしても毎日痛み止めの薬を処方しています。

 痛み止めは体によくないということはほぼ全ての方のコンセンサスになっているように思います。整形外科医としても痛み止めはなるべく使いたくないとは思いますが、痛みをどうにかしてほしくて整形外科へ来院される方が少なくないと思いますので必要最小限でなるべく副作用の少ない薬を使いたいと思っています。お薬以外の方法、特にリハビリテーションなどで症状が治まっていく方も多いので、内服は避けたいという場合は薬以外の方法をまず行ってみて経過により相談という場合も少なくありません。

 痛み止めが飲めないという方は少なくありません。一つの系統で飲めないのであれば、他の系統の痛み止めを使えばよいかと思いますが、中には全ての痛み止めが飲めないという方もいらっしゃいます。副作用情報は医師としては最も注意が必要な事柄のひとつです。これは理解しておいていただきたいのですが、原則として一度副作用の訴えのあった薬は、それを知った医師は一生その方には処方しないということです。あくまで原則ですが。昔子供の頃、喘息発作時にテオドールを飲んだらしばらくしてボコボコと体中にじんま疹が出たことがありました。もう40年くらい前のことかと思いますが、私は今後も一生テオドールは飲まないでしょう。副作用の出たことのある薬を再度処方するというのはかなりハードルの高いものです。

 痛み止めというとまずは消炎鎮痛剤を思い浮かべるかと思います。私が医師になった数十年前は痛み止めというと消炎鎮痛剤以外は少なかったので、痛み止めが飲めないイコール消炎鎮痛剤が飲めないという理解でほぼよかったものです。しかし最近は炎症止め以外にも様々な系統の痛み止めがあるので、全ての系統で副作用が現れる確率は統計学的にはかなり低いはずです。なので全ての痛み止めが飲めないという場合は副作用以外の要因について考える必要がありそうです。 

 副作用以外で鎮痛剤を飲めない原因としては、ひとつは効果を実感しないから飲まない(希望しない)という場合です。全ての系統で効果が出ないということは、通常の内服薬では無理な病態(手術適応状態、内服では十分に除痛できない状態、鎮痛剤が効果的ではない病気など)を考慮する必要があるかもしれません。そういう場合は通常の内服薬以外の方法で対応する必要があります。膝痛で半月板や軟骨が痛んでいれば、痛み止めを飲んでもすぐに痛みが止まるということはありません。リハビリテーション等の運動療法で改善するのであればそれが一番体にはやさしいと思います。内服薬の効果が期待できないレベルで変形していたりする場合、手術を検討した方がよいかもしれません。

 もう一つはストレスや心因性疼痛(最近は痛覚変調性疼痛と呼ばれています)等に対しても、鎮痛剤系統は効果が出ないかもしれません。最近は元々抗うつ剤だった薬が神経痛系統の鎮痛剤として保険適応されており、そういう系統の薬で効果のある方もいますが、逆に使用を敬遠される方も少なくありません。最も望ましいのはその方の精神的負担の原因となっている事柄が解決することだと思いますが、それが難しければ様々なつながりで負担が軽くなるとよいなと思います。カウンセリングや認知行動療法などもよいかもしれませんが敷居が高いかもしれません。経過によっては精神科受診等も検討された方がよいかもしれません。身体の疼痛に対しては運動療法やリハビリテーションは有効な場合が多いです。マッサージや鍼なども心の平穏も含めて有効かもしれません。

 高齢者の方では、薬の管理ができないと、処方されても困るということがあり薬は嫌、効かない、という方もいます。副作用で飲めなかったというようなことを理由にする場合もよくあります。もっと若い時期からずっと毎日飲んでいる生活習慣病の薬は既に習慣化されていて内服できるけれど、歳を取ってから内服を始める骨粗鬆症の薬や鎮痛剤系統は忘れてしまい飲めないということもあります。その後数年、510年くらい経ってから早期認知症と診断されることも少なくありません。認知症は早期認知症と診断されるよりずっと前から漠然とした不安感を抱いている方が少なくありません。全ての痛み止めが飲めないとか、漠然とした不安感は認知症の早期と言われるよりずっと以前の最も初めの症状発現なのかなと思うことも時々あります。

 ちなみに、全ての痛み止めが飲めないという方が骨折して手や足がグラグラになって来院された時どうするか。副木やギプスで固定すれば痛みは緩和されますが、それでもかなり痛いかもしれません。「痛み止めは副作用で飲めないようですがどうしますか?」とお聞きすることになります。医学的には一度副作用の訴えがあった薬を再処方するということは原則できないものです。

そういう場合、ほとんどの方が「痛み止め飲みます。」と言われます。そういう場合、経験上アナフィラキシーや薬疹を生じた薬以外で鎮痛剤を処方するとほとんどの方が内服可能です。

 昨今、コロナワクチン接種後の発熱等でアセトアミノフェンを使用しましたが、全ての痛み止めが飲めないとおっしゃっていた方でも、ワクチン接種後にアセトアミノフェンが飲めないという方はほとんどいませんでした。痛み止めとしては飲めなくても解熱剤としては飲めるということがかなり多いということです。最近は医療用の痛み止めがOTC化されてドラッグストアで販売されていますが、処方した薬が飲めなかった方でも、OTCの薬なら飲める方が多いです。そもそも元々副作用が多いとして慎重投与している薬がOTC化された途端に「胃に優しくてよく効く。」と宣伝されて安易に内服できることには疑問もありますが。整形外科から処方すると飲めない薬も、歯科から処方されると飲めている方も少なくありません。診療所レベルで全滅している方でも、病院から処方された場合複数の鎮痛剤を組み合わせて全て飲めているというようなことも稀ではありません。

 鎮痛剤が全て飲めないという場合、それが副作用によるものなのか、希望しないという意味なのか、心理的要因がないかどうか、管理の問題ではないかどうか、手術など検討すべき時期なのではないかどうか。などなどいろいろな配慮が必要なのだと思います。

 

2023年3月12日 (日)

人の不安はどこまで駆り立ててよいのか。

 先日、駅のトイレで所々あかぎれして血がにじむ手指に石鹸の泡を付けてずっと洗い続けている少年がいました。目は指先を凝視して手以外は微動だにせず佇んでいました。かわいそうに強迫観念に追い込まれているのでしょう。

 現在の日本は人の不安やコンプレックスを助長してビジネス化することが激しく流行しています。コロナ禍でさらに拍車が掛かったように思います。人はどこまで不安やコンプレックスを駆り立ててよいものなのでしょうか。

 身の回りのあらゆるものを殺菌した方がよいように心理的に追い込まれていないでしょうか。空間から机の上からソファーからカーテンから体の表面や口腔内の常在菌まで常々殺菌しないとヤバいというように思い込まされていないでしょうか。

 人は頭髪が薄くなってはいけないのでしょうか。円形脱毛症で悩んでいる方とかもともと無毛症のような方も居るわけですが。顔の皺やシミは隠したり消したりしないといけないというような情報も感度の高い人々を強迫観念に駆り立てているのではないでしょうか。一重の人はアジアンビューティーだと思うのですが、二重にしないといけないのでしょうか。サプリを飲まないといけないんじゃないかという風に追い込まれている方々も非常に多いように思います。年齢がいったらサプリを飲むというのがもう常識のようです。疲れたらしっかり休むよりビタミン剤やエナジードリンクを飲んだ方がよいような錯覚を覚えさせられる映像が氾濫しています。ビタミン剤というのは目から肩凝りや腰痛や膝痛から不眠から疲労までなんでもかんでも効果のある万能薬なのでしょうか。年齢的な運動機能の低下を防止するためにサプリを飲まないといけないのでしょうか。

 昨今は多様性という言葉がよく使われていますが、本当に多様性というものが身についているのであれば、人の外見などを修正しないといけないような情報を流すことにはかなり気を遣うことでしょう。多様性ということを考えた時、ありのままを受け入れるということが根底にないといけないはずです。見た目を変えないといけないような社会の雰囲気は多様性の尊重と逆行するのではないかと思います。現在のメディアは多様性という言葉を建前で使っているのだなと。

  不安を助長して商品を販売したりサービスを提供するというビジネスモデルは成功しやすく昔から続いているのでしょうが、どこまでが許容されるのでしょうか。昨今の宗教問題と照らして考えると、殺菌教、サプリ教、コンプレックス助長教といったところが隆盛を極めて多くの信者を獲得していますが一度入信してしまうと盲目的になってしまうようです。

  そう考えると医療や介護もどうなのだろうかと自問します。人の不安を助長して治療を促すビジネススタイルになっていないでしょうか。90歳の人に、脳梗塞や心筋梗塞にならないようにと薬を飲み続けさせることがどこまで妥当なのか。整形外科としては骨粗鬆症で骨折すると寝たきりになったり予後もよくないですよと言うことがどこまで許容範囲でどこから不安を煽ることになるのか。人は老衰してくると運動機能も認知機能も自然に低下していくものですが、自然の推移に委ねるということがいけないことなのか。

  何事にもいい塩梅というのがあるはずです。治療継続率が高いということは患者さん側からすると押しつけに近いということになるかもしれません。専門医の役割は攻略戦、つまり最期まで治療を継続させること、プライマリケア医の役割は撤退戦、つまり不安を抱かせずに年齢等により治療を漸減することなのかもしれません。それでもプライマリケア医は若い頃の初診時からできれば人生の最期まで寄り添いたいところなので、不安を煽り将来の重病を予防し、不安を和らげ老いを受け入れるというような世代的な対応の変化も必要なのかもしれません。

2023年1月19日 (木)

鶴川開院50周年

 当院はおかげさまでこの1月に鶴川開院50周年を迎えました。開院当時、周辺は空き地が多く真光寺川周囲は全て田んぼでした。小学校には子供が溢れていました。

 開院当時、当院の建物は地上3階地下1階の小さな鉄筋のビルでした。1階が受付待合室、2階が診察室と手術室、3階には病床がありなんと入院できる診療所でした。看護師さんが一人住み込んでいらしたのをかすかに覚えていますが、入院していた方がいたような記憶はありません。

 その後改修、増築をして昭和の時代には整形外科診療所として運営されていました。平成になり皮膚科、内科が常勤医となり令和になり現在の場所に移転しております。昭和から平成、令和へと鶴川を見つめながら時代に合わせて変革してきました。在宅診療も行いコロナ禍では発熱外来も運営し、キャッシュレス決済にも対応しました。システム導入がなかなかうまくいかず申し訳ありませんがオンライン診療も行っていきたいと思っています。当院は基本的に地域のかかりつけ医としてありたいと思っていますが一般の診療、健診、在宅診療、発熱外来やオンライン診療をどのようなバランスで行っていくべきなのかは難しいところです。国はかかりつけ医制へと進めるような話をしていますが、現状では日本人にはかかりつけ医制度は馴染まないのかもしれません。

 今後も時代の趨勢を把握しながら哲学的倫理的にどうしていくべきなのかを探りながら進んでいきたいと思います。

2022年12月31日 (土)

2022年末

 

 今年も暮れていきますね。今年も医療機関としては結局コロナ対応に追われた1年でした。今年はこれからの日本の医療がどこに向かうのかが垣間見えてきた1年でもあったように思います。きっと今政府が言っていることとは異なる方向に進むことでしょう。それが既定路線なのでしょうが。現実的にその方向を見越して軌道修正していかないといけないなと思います。やはり馬鹿正直に考えてはいけないのが世の常なのでしょう。

 今年は色々勉強した1年でした。それらを少しずつでも還元できれば良いなと思います。来年からの数年間は勝負の年なのかもしれません。まあそもそも真っ向勝負すべきではない年月なのかもしれませんが。

 来年こそは日本もコロナ後の世界になっていって欲しいと思います。流石にそろそろ人類は微生物には勝てないということは把握した方が良いのではないかと思います。全体としては共存していくしかないのが現実です。問題はどう共存していくのかという点なのかと思いますが。

 コロナの話題は今年で終わりにしたいと思います。もっと別の大事なことを語っていくべきなのではないかと。人それぞれが様々な位置に立っていて大切な人生を歩んでいます。日本は世界で最も可能性のある国であることは間違いないと思います。どうしたら前向きになれるのか。もしかするとネガティブであることを楽しむことが必要なのかもしれません。

2022年12月26日 (月)

日本医療の歴史的大転換?

 あまり気づいている人はいないかもしれませんが、この冬に日本の医療は歴史的大転換を迎えたかもしれません。

 日本の医療制度ではこれまで、政府の誘導したい事柄に対して加算をして医療機関を誘導してきました。今年4月の診療報酬改正でも感染症に対応する医療機関に感染症対応加算を付け、マイナンバーカードを導入した医療機関に電子的保健医療情報活用加算というのを新設しました。これは日本の政治が国民目線ではなく業界団体との政治的折衝によって決まっていく典型例で、関係者からみれば加算なのですが、一般の人から見れば値上げ以外の何物でもありません。 

 長い間疑問に思っていましたが、加算加算していくのも能が無いので当院では今年度は感染症対応加算を取得しないことにしました。マイナンバーカードも導入すると値上げになってしまうので今年4月の導入は見送りました。

 感染症対応加算は行いませんが、もちろん感染症は通常通り診察します。なので、感染症対応加算を取っている医療機関でコロナを診てもらえないからということで感染症対応加算を取っていない当院へ患者さんが流れてくるというおかしな事態になっています。

 加算をしてもマイナンバーカードを導入する医療機関がなかなか増えないので政府や政府を諮問する人達やメディアは医療機関が抵抗しているからだと言いますが、まだ実用的に使い物にならないシステムを導入してお金を取るのが正しいのかどうか、メディアの方々は考えているのでしょうか。今マイナンバーカードを導入しても実際にカードを持っている人が半分、そのうち保険証情報が紐付いている人は数割程度です。もっとも、医療機関がマイナンバーカード導入の手続きをしても順番待ちで導入ができていないのが現状なのですが。そもそも整形外科で本人確認するとしたら、怪我をしていれば本人、怪我もしないで切ったから縫ってほしいという人は本人ではありません。かかりつけの医療機関で保険証情報は確認が必要ですが、本人確認がどの程度必要なのか。

 さて歴史的大転換の話ですが、マイナンバーカードがなかなか普及しないので政府はあせっているのでしょうが、この12月に突然、来年の4月からマイナンバーカードを利用していない医療機関を60円値上げするという大本営発表を行いました。今まで誘導したい方向を加算するとしてきた方法を、誘導したくない方向を値上げするという方法にした訳です。

 メディアも一斉に来年からマイナンバーカードを利用していない医療機関の方が自己負担が高くなりますよと政府の言う通りに報道していますが、加算方式と値上げ方式が混在してしまったらもう訳がわからなくなるのにどう整理するのでしょうか。

 自己負担が安いアピールをした方がよいのであれば、感染症対応もしないほうが自己負担は安いです。在宅専門の医療機関で在宅医療を受けると高額なので、在宅支援診療所の看板は外して往診対応した方が圧倒的に安くなります。かかりつけ機能に対応しない方が機能強化加算が必要なくなります。

 来年度から、「しっかり診療しているので加算はご了承下さい。」というスタンスでいくべきなのか「当院を受診した方が自己負担が少ないですよ。」というスタンスで行くべきなのか。

 多くの患者さんが、加算の有無よりも近所で通いやすいとかしっかり診療しているとかいう基準で医療機関を選択していることでしょう。それなら従来の保険証を使用した方が医療機関の収入的にはやや高くなり、医療機関としてマイナンバーカードを導入する必要はカードが実用的になるまではないということになります。

 日本の医療政策は支離滅裂になっていく一方です。マイナンバーカードは、本来税金や住民票などの公的なものを利用する時にマイナンバーカードがないと手続きできませんという風にすれば取得率100%になっていくことでしょう。というか先に全ての国民にマイナンバーカードを配って100%保険証情報を紐付けてから医療機関での使用を義務づけるべきでしょう。政府もお役所の方々も矢面に立ちたくないから医療機関を人柱にしているのに過ぎません。来年41日にマイナンバーカードの普及率と保険証の紐付け率が100%に至らなかったら全国全ての医療機関は無期限全面ストライキに突入すべきだと思います。

2022年12月10日 (土)

スポーツバーに防護服

 ワールドカップで日本代表が16強に進出し大いに盛り上がりました。8強には進めず残念でしたが強豪国相手に本当によく頑張っていただいたと思います。

 さて日本国内では政府は我々医療関係者に感染拡大防止と医療提供体制の整備を要請しています。本気で医療関係者に感染拡大防止対策をするように言うのであれば、我々医療関係者は完全防護服にN95マスクをしてスポーツバーに突入し「マスクなしで騒ぐな」と怒りの応援妨害を行うべきでした。まあ多くの臨床医は普通の格好をして一緒に盛り上がっているのが現実なのでしょうが。

 感染拡大のリスクが高いのは人が密集した状態で声を上げたり歓談したりすることです。飛沫が飛び交いウイルスが漂う中で呼吸すれば呼吸器系に取り込まれ感染を生じる確率は格段に上がることでしょう。

 マスクの必要性の低い所でこれ見よがしにマスクをし、店舗の入り口で義務のようにアルコール消毒し、手を洗って直ぐに何かに触れたりしていても、感染は減らせないことでしょう。臨床的にはもう感染対策とか限定的にしていき平常化して行く時期なのではないかと思わずには居られません。

 スポーツバーで盛り上がっている様子を盛んに放映するニュース番組で感染対策を呼びかけていますが、いったいどういう思考回路をしているのでしょうか。

 日本の本音と建て前文化もここに極まった感がありますね。

 多くの方がいったい中国はコロナ政策をどうするのだろうかと思っていることでしょうが、その中国が新型コロナ対策の緩和を発表しましたね。もしかすると日本はコロナからの平常化が世界で一番遅れる国になるかもしれません。世界がコロナ後の社会になって世界から日本の対応を批判されてやっと全面解除へと進むことになるような気がします。自分では決められない政府、専門家は世界中がコロナ後になったのを見届けてから日本国内でも世界基準を採用するしかできないように思います。 

 これからコロナとインフルエンザの検査キットを市中で使えるようにし、軽症でも使える高額なコロナ用の薬を緊急承認し、初診からのオンライン診療を推し進めるとのことですが、日本は従来から検査も投薬も受診も入院も多すぎると言われている国です。

 軽い風邪様症状程度では検査しない、軽い症状ではキツい薬は使わない、1錠でポリファーマシーな総合感冒薬など使わない、リスクの低い人は入院や施設療養しない、とにかく検査、投薬、消毒、入院などを日本人は異常にやり過ぎているという自覚を持って減らしていく努力が必要です。

 サッカーでこれだけ盛り上がったのですから、音楽とかお祭りとかイベントで盛り上がってはダメとかもう言えないのではないでしょうか。インフルエンザも流行り出したようです。この冬はいったいどうなっていくのでしょうか。

2022年11月 3日 (木)

第8波の前に

 残念なことに第7波が十分引いていく前にもう第8波が押し寄せ始めたかもしれません。12月くらいから始まるかと思っていましたが、11月初めから感染者数が増加傾向に転じるとは。まあ人の活動を活発にする対策を積極的に行っている訳ですから仕方が無いのかもしれません。さらに残念なことに政府は2類相当の分類を変えず、人々もマスクやアルコール消毒の習慣をそのままにして来年の春まで過ごすことにしたらしいですね。もう社会を平常に戻したいのかこのまま永遠にコロナ対策の世の中を過ごしていくのか。

 今日は町田市医師会の休日当番でした。今日来院されたのはほとんどが発熱の方でした。多くの方が、一度自宅で新型コロナ用の抗原定性キットを行い陰性だった上で受診されていました。その場合国の指針としては医療機関ではインフルエンザの確認のみをして対応すればよいようになっています。しかしまだインフルエンザは少し発生しているものの流行しておらず、ご家族がコロナで療養中など、臨床的にはコロナの方が疑われる方が多い印象でした。相談の上コロナとインフルエンザの両方を検査した方は、ほとんどがコロナ陽性でした。

 今日だけの印象で判断すべきではないかもしれませんが、やはり自宅で一般の方が抗原定性キットをした場合の陽性率はかなり低いのかもしれません。原因の一つとしては発症してすぐに検査していることがあるように思います。発熱して直ぐに検査しても、まだ陽性率は上がっていないかもしれません。また、市中に出回っている抗原定性キットのうち、唾液で行う検査キットは使わない方がよいものと思います。どちらかというと唾液のキットは流通禁止にした方がよいのではないかと思います。鼻腔で行うキットでも、自宅で一般の方が行うとやはり十分に検体を採取できていないのかもしれません。

 このまま自宅でのキットを基本とした対策をすると、医療機関ではいろいろ対応が難しい面がでてくるように思います。自宅での検査では、偽陰性のまま普通に活動する方々がたくさん生じてくるかもしれません。自宅でのコロナ検査陰性の場合、医療機関では本当にインフルエンザの検査のみでよいのかどうか。逆に自宅でのキットを基本とするのであれば、いっそのことインフルエンザ流行期にはコロナとインフルエンザの両方を測定できるキットを自宅でできるようにしてしまえばいいのにとも思います。両方陰性で症状が軽ければ医療機関へ受診しないで済むことでしょう。

 これから年末へかけて、どんな状況になりどんな対応をとっていくべきなのか。どう整理していくべきか。悩ましいものです。

 

 

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